[コメント] オペラ座の怪人(2004/米=英)
もともと、ともに「煽り」で売っているようなアンドリュー・ロイド・ウェバーとジョエル・シュマッカーだけど、この相乗効果 は「やりすぎ」のひと言。
この二人、それぞれ単独でならいくら煽ってもバランスを崩さないギリギリの線でうまくまとめてきたと思うんだが、これは歯止めが利かなくなった感じ。あえて「悪ノリ」と言いたい。
音楽も映像も「煽り」の連続で疲れるし飽きる。何より「引き」の要素に乏しいため、この物語本来の「哀しみ」がほとんど感じられないのが致命的。これではファントムはただの我侭ストーカーじゃないか。
演出以前に、ファントムの歌唱と演技に暗さや凄みがないことも大きな原因だろう。何かフツーにいい人っぽいルックスと声なんだよなあ・・・ 全然ゾッとしない。ファントムを見て「可哀そうなんだけどやっぱり不気味」だと思ってしまうジレンマを観客自身が感じなければ、これはドラマとして成立しないでしょ。
今回はアンドリュー・ロイド・ウェバーがステージでは不可能なスペクタクルを望んでジョエル・シュマッカーと組んだのはよく分かるけど、結果としてはステージをストレートに映像化した『キャッツ』の方が音楽の魅力がずっと活きているのは何とも皮肉だ。
豪華絢爛を狙ったはずの「マスカレード」のシーンの薄っぺらなチープさ、ただやたらとカメラを動かすだけで何の官能も陶酔も生み出せない演出を見ると、やはり監督はミスキャストだったと思ってしまうなあ。
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