かといって決してこの映画を批判的に見ているわけでもないんです。

韓国映画を見ている感覚がなじまなかったのは、原作が日本の漫画だったからなんですね。これ納得です。

タランティーノが絶賛してカンヌ映画祭でグランプリを受賞したというのは、この監督の才能が大半だとは思いますが、その原型を生み出した原作陣によるものであることは明らかです。

サスペンス、というカテゴリーで見ると、それはきっと原作の世界だけに止まるものだと思います。いずれのシーンもとても漫画的です。

映画としての評価は、これ大変難しいですね。タランティーノ系であることは認めますが、この監督がかつて作った『ＪＳＡ』（私が彼の作品で見たのはこれだけ）と比較すると大変違和感を覚えました。

対立する構図とか、敵愾心の高揚といった部分は共通するにせよ、このドラマの結末はいかにも混沌としていて悲劇的です。

とにかくバイオレンスな描写がすさまじくて、その表現手法を認めつつも、個人的にはついてゆけないなーというのが本音ですね。

でも主演のチェ・ミンシクの狂気的な演技はすごいですね。圧倒されました。冒頭のサラリーマン風から監禁されて肉体を強化し、復習の鬼に変身してゆく姿は尋常なものとは思えませんでした。

『シュリ』の印象はそれほど強くありませんが、今回の作品の迫力は確かにすごいものでしたね。脱帽です。たぶん日本人でこの演技をできる人はいないでしょう。

2010/01/29（自宅）