脚本がよいという噂を聞いて、観てみた。・・・しまった。自分の苦手なタイムパラドックス物・・・。でも素直に面白かったとは言いがたい理由は、たぶん主演の二人にもあると思う。

どっちも一見別人。ジム･キャリーは年を追うごとにどんどんどんどん緑色の面白怪人ではなくなり、今はもう完全に性格俳優。たしかに「演技派」っていうシフトには成功してるけど、その姿にかつての『マスク』の面影はどこにもなく、顔には四十という年齢がはっきりと影を落とす。あれから十年以上経っているとはいえ、彼の顔芸やコミカルな演技が大好きな人間としては、やはり淋しいし複雑。そればかり気になって演技に集中できない。 ケイト･ウィンスレットにも同じく、かつてのブルジョワむっちりお嬢in『タイタニック』の雰囲気は消し飛んでいる。悪いのが、彼女の場合は顔が当時とまったく変わっていないところ。髪の色ばかりがエキセントリックで顔だけがあのまんまなのが、余計に違和感が強烈。

とにかく、沢山のコメンテータの方々もおっしゃっていますが、二人とも良い役者・良い演技なんだけど、この映画には必要だったのか？という点。彼らが名実共にそろっていることが、逆にこの映画にはマイナスになっている気がする。（06/9/12 DVD）