[コメント] アマンドラ!希望の歌(2002/南アフリカ=米)
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自分たちの言葉で、心の叫びを歌にかえて、一気に放出するときのエネルギーが敵にとってどれほど脅威になるかを私たちに教えている。やがて、武力闘争の時代をむかえ、歌詞さえも徐々に変化していくことも。ついに手にした自由の喜びは決して非暴力ではかちとれなかったことがごまかされずに描かれているところがとても好きだ。
身分制度からの解放をかちとった祖国は今やっと夜が明けたばかりだ。出獄するなり、帰国するなりして、現在政権についている、解放闘争の指導者たちは、これからの時代を、人々とともにどんな風にあゆもうとしているのだろう。アパルトヘイトは崩壊した。したけれど、ほとんどの労働者は依然として貧しいままだ。制度としての身分はなくなっても、歴然とした階級社会の中で、同胞を鎮圧する側に回ってしまうことがありえないとはいえないだろう。
というのは反アパルトヘイトを描くとき、どうしても黒人VS白人といった「民族解放闘争」という意味合いが色濃くでてしまうからだ。白人が敵だった時、黒人は民族としての団結を強めて一つになって闘うしかなかったのだけれど、その中には、あの厳しい身分制度の中にあっても、食うものに困らなかった人もいれば、食うや食わずの生活に見切りをつけ、死ぬなら自由になってから、と決意してゲリラになった人だっていたはず。
黒人社会の再建をめざす時代にあって、なおも続く民衆の闘い。ネルソン・マンデラの目に、それはどのように映されているのだろう。
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