[コメント] 東京画(1985/独)
外国人なだけに少々ポイントを外した観はあるが、ヴェンダースは見事なドキュメンタリーを作ってくれた。[Video]
ヴェンダースは自分が求めていた東京のイメージはもはやないと言う。そんなことはない。たとえ汽車が新幹線になり、東京タワーが建ち、若者たちが欧米の流行にかぶれていっても、東京は今もなお存在する。新宿の飲み屋街、パチンコ屋、道路を走る車の列、あるいは公園で野球をする子どもたちや、その脇をほほ笑みながら会釈して歩いていく老女、みな東京の持つ変わらないイメージなのだ。
にもかかわらずこの作品は、そんな東京の姿「東京画」を、小津安二郎以来変わったものと変わらないものとを同時に提示しているという点で貴重である。21世紀になった今、「東京画」が85年当時と比べてどうなっているか、ヴェンダースにはぜひ確かめていただきたい。変わったものに比べて変わらずに残っているものがいかに多くあるか、彼はきっと驚くに違いない。
酒場、庶民の娯楽、道端で遊ぶ子ども、父親・母親。どの時代でも変わらないもの。それを一貫して小津安二郎は描き続けた。だからこそ、彼は偉大なのだ。
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