[コメント] 恋の門(2004/日)
<「大変遅刻しちゃう!」朝、パンをくわえ時計を見ながら走り出したら、曲がり角で突然目の前に現れた男とごっつん。「おい、どこ見て歩いてんだよ。」「謝りもしないで何なのあの男、頭にきちゃう…いけない、もう時間が…」ぎりぎり間に合い席についたら、今日は転校生が、あ、さっきの男だ…>
上記コメント(↑)のような典型的な形とは若干設定は異なるものの、本作の冒頭は丁寧にラブコメの定型を踏襲している。作品内で主人公たちにも言及させるが、本作はラブコメの主流をなぞり、ときには敢えて逸脱させ、またあるところから主流に戻してみたりと、終始ラブコメというジャンルを強く意識しながらストーリーを進めていく。そういえば同じ演劇人である三谷幸喜も、何か元となるジャンルや名作があって、それらをなぞったりわざとそこから外してみたりと、ある一つの定型を強く意識した作品をよく作る。(タモリがテレホンショッキングでそういえば何十年もやっていて俺宛には花が一度も来ないと言ったら、次の日のオンエアでゲストにではなくタモリ宛に花を送ったのは三谷。面白いかどうかはさておき、そんなおふざけも実は古畑任三郎や『12人の優しい日本人』などを産み出した発想と同じところに根ざしていると思う。)
演劇人松尾スズキが撮った本作は、とても緻密で戦略的な作品と思うが、若干、策士策に溺れる、という結果になっているような気もする。例えば、酒井若菜への演出のつけ方などに少しあざとさを感じた。とはいえ、独特のねっちょりとした演出には楽しませてもらった。
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