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[コメント] 蟻の街のマリア(1958/日)

この世は所詮、御釈迦様の掌の上のお話と割りきってしまえば何でもできそうな勇気が沸いてくる。『小島の春』の夏川静江が母親役というのが象徴的であり、南原伸二は和製ジョニー・デップといった面立ちで格好よく、美輪明宏のミステリアスで異質な存在感はさすがだ。
TOMIMORI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







始まってわりとすぐに部落の人々がクリスマスの仮装に興じてノリノリなのに少しズっこけたが、この作品のハイライトといってもよいであろう、クリスチャンを嫌っていた松木・(南原伸二)が北原に「あなたは女優だ。天守様が演出する劇の女優を演じるのだ。」と諭す場面に感銘を受けた。結果的に松木は「あなたを利用していた」と北原に謝罪するのだが、考え方は決して間違っていなかったと思う。

この世は所詮、御釈迦様の掌の上のお話。私も日頃からこのような慈善活動に偽善的なものを感じてしまう傾向にあるが、このように割り切ってしまえばいざ自分が似た立場に立って「これって偽善的?」と躊躇した時に照れも迷いも霧消するに違いない。 とはいっても彼女のように献身的で実践的な活動は誰にでもできるものではないだろう。彼女の伝記『アリの町のマリア』も読んでみたい。

ところで『人間の子』で知ったのだが、神戸のスラムに住み込み実践的な活動をした賀川豊彦という宗教家がいたことも付記しておきたい。

(評価:★4)

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