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[コメント] ションヤンの酒家〈みせ〉(2002/中国)

美しさと違和感。ローキー、ハイコントラストの詩情あふれる画面に佇むタオ・ホンの美しさに惹かれる反面、たとえば一生懸命ナイフとフォークでピザを食べる、というようなディテールにチクチクした違和感を覚えて居心地が悪い。
ぐるぐる

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







というか、欲とか見栄とか溺愛とか身勝手な自己主張ばかりで何の思いやりもない登場人物たちの言動に全く共感できない。ひとりくらい「心優しい人」がいてもいいじゃないの・・・ まあ、あるいは自分が否定してきた「昔の人」「田舎もの」「貧乏人」への嫌悪感かもしれないが。何しろこうした違和感が先に立って物語に入り込めない疎外感に、何だか日中友好は難しいような気にすらなる・・・

山の郵便配達』で見事な「田舎の物語」を描いたフォ・ジェンチー監督の「都会の片隅の物語」。特にエキセントリックな大事件のない、日常の出来事をじっくり追う構成だけに、制作サイドと観客サイドでのこういう感覚の差がマイナスな方向で目立ってしまう。

次回作の『故郷の香り』は未見だけど、都会に出て10年ぶりに里帰りした若者と村に残ったかつての恋人のお話だそうで、いつかこの監督は中国の『東京物語』を作ってくれるのかも。

(評価:★3)

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