[コメント] 上海陸戦隊(1939/日)
占領下の上海の街での撮影というリアル。(2年前の上海事変を描いている)。対して、「歴史」として様々な視点からの「リアル」を知ってしまっている現代人にとっては、「胡散臭いリアル」も同居するアンバランスさ。
そう、すべてがアンバランスである。国策映画であるのだから、その主張に対して現代の認識・常識で文句をつける気は無い。
但し、映画作品としての「作り」は酷すぎる。
先ず、音声が悪く、台詞のほとんどが判読不可能である。軍人独特の早口な言い回しも多分に関係してはいるが、その多くは銃声と炸裂音にかき消され、音声の録音配分は決定的に間違っている。皮肉にもはっきりと識別できた台詞は中国人役の俳優の台詞が字幕となって流された時のみであった。アンバランスである。
クレジットから察するに、舞台は3箇所ほどの陣地と中隊司令部に設定されているらしいが、画からはその識別がつかず設定の奥深さが欠如している。
さらに、中国軍兵士は数人の人影が遠方で動くだけである為、20倍もの敵というナレーションがなければ絶対的な危機という状況が伝わってはこない。第二次上海事変という紛争全体を大局的に描こうとしながらも、局所的な陣地しか伝えられなかったが為、そのアンバランスさは拡大する。
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