[コメント] ディボース・ショウ(2003/米)
テレビシリーズで暗い役を演じていたジョージ・クルーニーは、映画に進出して、ハイな役柄に目覚めたんだな。面白い。
コーエン兄弟の映画で最も印象に残るのは『バートン・フィンク』であった。あの映画の素晴らしさは、そのスタイルであって、抽象表現に隠された謎とか、醜いものの直視といったスタイルが実に印象的で面白かった。幻想の世界、実社会からの逃避、生まれ変わる輪廻など、抽象的な感覚が仏教的であることも、日本で評価された理由だったのだろうか。
さて今回の作品はもっとわかりやすく、しかもあまりこだわりのない短絡的で楽しい映画であった。しかしコーエンスタイルは貫かれており、話の筋はともかくキャスティングで見事蘇生したような作品であった。
しかし、前々作の『オー・ブラザー』の時に比べて、よりクルーニー色が強まっている感が強く、ゼタ・ジョーンズとの共演もクルーニー製作の『オーシャンズ12』から引き継がれており、ラスベガスのシーンなど大変似通っている印象があった。
このクルーニーの演技が素晴らしい。
これほどコメディを真面目にこなすタイプの役者とは思わなかった。『オー・ブラザー』の頃はコーエンスタイルを迎合しようとする本人の努力する感じが強かったが、今回は自身のオリジナルを思わせるセンスとギャグを連発する。
話の内容が相手の足を引っ張り合う関係の形式だけに、彼の演技力が見る者を飽きさせない映画だったということだろう。
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