[コメント] ドーン・オブ・ザ・デッド(2004/米)
B級映画化の徹底が不十分ではないでしょうか。特に強く感じた箇所がいくつか存在します。
主人公の周囲に仲間が沢山いるのは良いと思いますが、表面的な個性が足りません。奥深さを感じる登場人物を描くにはある程度の尺が必要となります。よって平凡な性格でありながら、わかりやすい個性を持っていない人物を100分のアクション映画に何人も登場させるのは誤りだと思います。『バタリアン』のようにケレンの効いた個性が必要です。
次に、メッセージを書いたボードを掲げて向かい側の建物にいる人物と会話をするシーンです。このシーンは孤独に耐えた末にようやく見つけた暖かいコミュニケーションという『地球最後の男』のオマージュのような気もしますし、単体で観ると良いシーンであり良い画なのですが、作風との相性の問題で総合的なクオリティーへの貢献度は低いと感じますので不要に思います。
激しい画作りをしているわりに、主人公サイドからゾンビに対する激しい殺戮感が足らない感じがします。そして中途半端にドラマを盛り込んでいるわりに、一般層にアピールするにはグロすぎますし、感動も存在しません。
ショッピングモールが舞台ですが、モールならではの生活感が薄く、ユーモアがありません。オリジナル版に存在した、現実逃避的大量消費生活描写を利用した、カタルシスが薄いです。それが要因となり、ドラマ性だけでなく娯楽性でも負けていると思います。
オリジナル版に対するオマージュシーンがいくつかあり、オリジナルのキャストをゲスト出演させているので、この監督がロメロ好きである事は間違いないと思うのですが、残念ながらロメロもこの作品を気に入っていないようです。私もロメロの「最初の20分までは良かった」という意見に完全に同意します。ショッピングモールに入るまでは「理想的なリメイクだ」と思いました。ヒットしたという客観的事実があり、現在でも一定の評価を保っている作品を批判するのは天邪鬼的であり気が進まないのですが、何か惜しい感じのぬぐえないイメージです。
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