[コメント] ホット・チック(2002/米)
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『転校生』系の体が入れ代わってしまった女子高生のコメデイ映画。
単純に学園コメディかと思ったが、ストーリー自体は非常にハートフルで、従来の学園映画で普通に扱われているような嫌味な学園のアイドルの女の子を英雄視する展開やちょっと変わった性格のクラスメートを差別するような展開を皮肉っている。
イヤリングをした人同士の体が入れ代わってしまうという展開自体は目新しくないが、この映画の場合、周りの人たちを小馬鹿にしたり、自己中心的でかなり性格の悪い女性だった主人公ジェシカが、強盗犯の体と入れ代わってからは、自分の周りの人への行為を反省して、仲の悪かった人とも仲直りしたり、友人たちとの信頼関係を見つめ直すなどジェシカの成長が感じられるところに非常に好感が持てた。
またギャグシーンもジェシカの振る舞いはあくまでも女性っぽいのだが、体は男性というギャップがいい味を出していて、恋人に求愛をしても気持ち悪がれたり、中身は女性なのに父親に男性と扱われるところが面白い。体が男の体なのにジェシカが店の店員に色仕掛けをしておごらせようとするところは傑作。
ジェシカの友人たちも脇役ながらもジェシカを元に戻そうとサポートする役割が全員にちゃんと当てられており、きちんと機能しているところも素晴らしい。最近の学園コメディだと表面上だけの友情ばかり取り上げられるが、この映画は主人公たちの関係を修復し、信頼関係を重視した友情であり、非常に感動的。
ジェシカの体に入れ代わった強盗犯のエピソードがほとんど描かれないのと、ブラックな笑いを取ろうとするあまり、少々過激なギャグに走りがちなところは気になるが、それがジェシカたちの信頼関係を高めるための演出になっているところはよかった。
役者としては体が入れ代わってからのジェシカを演じるロブ・シュナイダーは女性的な仕草は結構頑張っているし、中盤からは独自のコメディセンスを掴んで演技をしていて印象的。ジェシカの親友エイプリル役のアンナ・ファリスは外見は『最終絶叫計画』のシンディ役の頃に比べるとかなり色っぽくなったが、演技は大きくイメチェンせず、ファンの期待を裏切ることはなさそう。もちろん、シンディ役の頃と同様に積極的に汚れ役を引き受けて演じているところはよかった。変身前のジェシカ役レイチェル・マクアダムスやジェシカの友人役の役者たちも演技面では結構頑張っている。
総評としてはコメディ映画としては笑えるし、感動も出来る作りになっていて、久々に良質なコメディ映画を観た気分であった。
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