[コメント] NOVO ノボ(2002/仏)
「記憶を保てない男」という設定で、恋愛、友情、信頼、親子などの人間関係を描くという狙いは面白い。スタイリッシュな映像感覚を優先したために、テーマの掘り下げ方、伝え方がちょっと徹底しなかったような感じも残るが、秀作。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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考えようによっては三角四角五角関係のドロドロ話なのかもしれないが、後味を悪くないものにしているのは、テンポ感を崩さないスタイリッシュな演出以上に、妻との関係は保てなくても、記憶が戻ろうと戻るまいと、父と子の絆は壊れることが無かった、という話の展開自体だと思う。
アナ・ムグラリスは容姿だけでない好演。彼女の独特の存在感と映画の舞台設定からの連想で、20年前のエリック・ロメール監督作品の『満月の夜』を思い出したが、あの頃の映画を考えると、本作は恋愛における「エゴ」の問題に耽溺して行き詰った感もあるフランス映画にとって、新しい展開への切り口を示しているんだろうな、と思う。その意味でNOVO(=新しい人)というタイトルは象徴的。一方で、アナの乗る真っ白い60年代のシトロエンが妙に印象に残るのも、無意識に伝統との比較をしているからかもしれない。
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