[コメント] 溺れる人(2000/日)
言葉多め。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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あのとき、何かが失われた。その何かが何であるかはわからないが、取り戻さなければならない。しかし、その思いが強くなればなるほど取り戻すどころか、それはどんどん遠ざかっている。そして気づいてしまった、その何か―かつてそれが離れてしまうことなど想像だにできなかったもの―が「取り戻すべきもの」になっていたとき、それは既に二度と戻らないものになってしまっていた。あのとき、二人の生活はすでに壊れていた。
予告編で観たくなった作品。マンションの中で繰り広げられる夫婦の濃密な空気、関係性の静かな描写を楽しみにしていた。実際、主演の二人はいい演技をしていたのだが、そこで用意されていたセリフ(即興なのか緻密な脚本なのかどちらかは知らないが)は、せっかくできあがりつつある空気の邪魔をしていたように感じた。会話劇というよりは、空気を感じることに重きが置かれた作品なのだろうから、極力セリフは削ってほしかった、とりわけ片岡礼子のモノローグなどは不要に感じた。設定自体には潔さを感じただけに非常に残念だった。もう少しタイトだったらよかったのでは。(★2.5)
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