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[コメント] BULLY(2001/米)

本当にボビーは単なるBully(いじめっ子)だったのか?殺してしまえば、もうアイツの考えていることさえ掴み取ることは出来ない…。/この事件は非常に興味深い。フィクションであるから、鑑賞後、そこで初めて感情が涌く作品だ。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







このボビー・ケント殺害事件は全米に衝撃をもたらした事件だという。まだ大人に成りきれていない少年少女達が犯した殺人。この映画は、例えばよくある「真実を暴く」だとか「事の真相は?」などという次元の作品ではない。事件の概要を、彼らの人間関係と事件に至るまでの事の経緯を撮り収めた作品であると俺は思う。だからこそ、エンドクレジット後の彼らの刑期の説明後、そこで初めて事件への感情が涌いてくる。鑑賞中は、ただひたすらこの事件の尻尾を掴み、引きずられているという印象が強い。

ボビーは何故殺されたのか?…いや、ボビーは殺されるべきして生まれてきた人間だったのか?これは本当にわからない。傍から見れば、人を支配するような冷酷な一面があり、変態的な思想もあった。家はおそらくマーティと同じようなカトリックの家系であったのかもしれない。また、父親からの干渉も、彼にただならぬ影響を与えていたようだ。だが、これでは、この作品を観る限りでは、彼の本当の思考が理解できない。これは映画の出来云々ではなく、彼が殺され、この世にいない以上、永遠にわからないことなのだ。

ボビーはマーティを始めとする、かつて一緒の時間を共有していた相手(リサとアリ)、また興味本位等の彼とはなんら関係の無い人物の手で無残にも殺された。逆に支配されてしまったと言っても過言ではないかもしれない。同時に、支配されるべきだったのかもしれない…。それは誰にもわからない。ボビーにしか……

少年少女の思考回路が無残にもマイナスに働き続けた、そんな悲劇。

最後に、若手俳優陣は最高のキャスティングと言って良い。個人的にはヤク中ドニーを演じたマイケル・ピットが良かった。『完全犯罪クラブ』でも思ったが、本当に上手い。

(評価:★4)

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