[コメント] 機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光(1992/日)
マッチョドラゴンならぬマッチョガンダム
白兵戦に臨んで「この風、この匂い、これが戦場よ」と嘯くランバ・ラルや死地に立って「やらせはせんぞー」と絶叫するドズルといった、初代ガンダムのマッチョな部分のみを抽出、煮詰めたのがこの『0083』ではないか、とそんな風に思います。ノイエジールやデンドロビウムに代表される(一年戦争直後とは思えぬオーバーテクノロジーで)「大きいことは良い事だ」なメカはその象徴ではないかと。
力点が置かれているのは連邦ではなく明らかにジオン側で、特に準主役いや主役と言うべきガトーとその上官デラーズの主従関係、宇宙世紀とは思えぬアナクロな忠誠心がアチチと火傷する程に熱く描かれています。数あるスピンオフの中でも、最もジオン魂(通称:ジオニズム)に入れ込んだ作品と言えるのではないでしょうか。それ故に初代ガンダムのもう一方の魅力であった、ブライトの服を繕うミライさんや敵スパイと情を通わせるカイといった繊細なキャラクター・物語の造形はスッポリ抜け落ちているのですが。
ただこの映画版はごく単純な問題として、長ーいOVAシリーズを端折って再構成したため、展開を急ぎ過ぎて辻褄の合わない個所が幾つもあります。これでは折角の声優の皆さんの力演も最高水準の作画も台無しというものです。
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