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[コメント] 華麗なるバレエ(1972/英=仏)

 稽古で汗まみれのヌレエフから始めることで、日本語タイトルの『華麗』と対比させたかったんだろうけれど、いかんせん長く、そして眠くなる。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 素材としては問題ない。前世紀最高と称されるダンサー、ルドルフ・ヌレーエフ。生の踊りは見たことないけれども、私でさえその名前は知っているほどの有名人。列車の中で出生したこと、タタール人であること、二十歳でなんとか劇場専属ソリストになったこと、東側から亡命したこと、などなどドラマチックなネタに困らない人だ。 なのになんでこんなに眠くなるのができるのかね?

 ダンスシーンの撮り方も、そのまま踊りをさせてカメラはいろいろなアングルから(「シルフィード」、「田園」、謎の創作舞踊)と、画面にちょこっと加工を加える(「椿姫」)、実は客が入っているらしい(「眠りの森の美女」)といろいろ変えて頑張っていたけれども、ダンスとダンスの間が長すぎてそこまで行くのにへばってしまう。

 つまり肝心のドキュメンタリー部分は面白くなかった、ということ。そして汗と努力と、舞台での華やかさの対比は失敗に終わったということ。もちろんダンサーたちは皆凄まじい努力をしてきたのだろう。そんなことはわかっている。それをどうやって表現するかが問題になるはずなのに、ドキュメンタリー部分はそのままカメラを回してナレーションを被せているだけのような気がする。カメラに緊張感なし。これは撮った側の問題だろうな。

 もしかしたら、ヌレエフには(凡)カメラマンに緊張感を要求するほどの魅力はないのかもしれない。でも、ヌレエフさんの個人的な魅力とはどういうものかは知らんけど、それを伝えるためのドキュメンタリーでは、やっぱり無理してでも作り上げて欲しい。で、そういうために無理するのは制作側なわけで、何が言いたいかというと、ルドルフ・ヌレーエフさんには、この眠くなる映画に関する罪は何もないということです。

 それと、ダンス部分もそれなりに退屈したんだけれど(舞台をそのままカメラに納めるのは好きじゃないし、「椿姫」の加工も妙なだけ)、最後の「眠りの森の美女」だけはなぜかしっかり起きていた気がする。客の入っている舞台には、やはり魔法が懸かっているのだろうか?

(評価:★2)

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