[コメント] ラスト・プレゼント(2001/韓国)
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結局、イ・ヨンエという女優が感じさせる内面の「強さ」が、この物語をただの救われない気分から抜け出させている気がした。
こういう「お涙頂戴もの」の需要というのは、資本主義経済の発展段階と密接な関係があるのかもしれない。つまり、経済成長と引き換えに失われ行く「古き良き時代」を惜しむ気持ちみたいなものが背景にあるんじゃないだろうか。ついつい、そんなことを考えてしまった。
日本でも60年代から70年代初頭までという経済発展期に、やはりお涙頂戴ドラマが(TVでもマンガでも)大流行した記憶がある。その中でもこの手の「難病もの」は王道だったけど、これは「右肩上がりの成長=明るい未来」を前提とする資本主義経済の発想に対して、その未来を奪い取られるという物語がアンチテーゼとして上手く機能するということなんじゃないかと思う。
その経済発展神話の崩壊した現在の日本で、まだ成長の夢の中にいるような韓国製のこういう映画を見ることには、ある意味二重に過去を振り返って懐かしむような複雑な感傷がある。そういう微妙な足場に立ってみると、イ・ヨンエという役者の芯の強さがヒロインの性格の積極的な面をきれいに引き出してひときわ印象に残る。
つまり、この映画をひとことで言うと「ああ、よく泣けた!」、ってことです。クライマックスのピエロの泣き笑いイタオペは引っ張りすぎだけど。チョ・ソンウの音楽は、韓国の中ではもっとも手堅いね。よく出来た映画だと思います。
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