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[コメント] あのころ僕らは(2001/米=スウェーデン=デンマーク)

「グランジは嫌いだけど、ニルヴァーナは好き。」
グラント・リー・バッファロー

ありふれた若者たちの作品。若者たちの背負っているものを セリフで説明しすぎ。またその彼等の背景も非常にステレオ タイプな描き方。青臭さが満載。

しかし、そのようなことを頭でわかっていながらも、どこかで 自分の心に響いてきたものがあった。観にいく気になったのも タイトルに惹かれたからである。90年代も、いつしか「あの頃」 (邦題だけだが)と振りかえるものになってしまった。

90年代、主人公達とほぼ同時期を20歳として過ごした者にとって、 冒頭のニルヴァーナのくだりは琴線に響いた。グランジシーンの 中心にはニルヴァーナが間違いなくいたはずなのに、グランジを嫌いと 言ってしまうことが、90年代の若者の空気だったような気がする。 レコード会社がうんぬんかんぬんというのは、口先だけの言いわけに すぎない。他に流されずに自分なりの個を求めるという風潮に流されて いたあの日々。

そう考えると、あちこちで流布していた、貧困な自我を言葉の洪水 で埋め尽くすという表現方法がいくら忌み嫌われたとしても、それ が90年代的衣装を身にまとっていたことは否めないのではないだろうか。

時代は移り、90年代は過去のものになった。しかし、まだきわめて 近い過去であるがゆえに、落ち着いて振りかえることはまだできない 存在でもある。その部分の揺らぎを この作品に刺激されたような気がした。ディカプリオも、まだ「落ち 着いて振りかえれない」過去であるから公開を差し止めようとした というと少し言い過ぎか。(それにしても、「騙された」という 表現は少し解せないが…)

今この時点で、公開するというタイミングに★3.5

(評価:★3)

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