母親である工藤が交通事故にあうシーン。 カメラは同じ場所で横に回転（パーン）して撮っている。 ライトバンが道路向こうから来て（カメラを横に振る）お店の前に停まる。（カメラを横に振る）お店の前には工藤が少し困った表情でたたずむ。（カメラを横に振る）またもう一台車がやってくる。（カメラを横に振る）急ブレーキの音。（カメラを横に振る）店から出てきた娘が驚く。

何でもないシーンをただカメラを横に回すだけで撮る。 イランの映画スタッフが日本で撮影したのだろう。 けっして映画作りで日本とイランが上手く融合しているわけではない。 下手な映画（ドラマ）技法に毒されていないイラン映画だからこそできるようなシーンだと思う。

物語がイランに移ってからはその違和感は無くなったが、工藤の交通事故シーンだけはとても印象に残った。