観ている最中は全然面白くない。 アハマッドはネマツァデを探して丘を林を街並みを走り回る。 砂埃をたて、見知らぬ町を一日中、暗くなるまで。 アハマッドが出会う大人達は皆、尊大で、少年達はあわれなほどにいじらしい。

１時間２０分、延々と探し続けるアハマッドを見続ける。 少年の心に同化しているから「面白く」なんてないのだ。

次の日、ノートがなくて宿題が出来なかったネマツァデは、 先生が順番に席を回ってくるのを泣き出しそうに待っている。 隣にアハマッド少年の姿はない―。

最後の５分間の出来事は伏せておこう。 １時間２５分。少年になりきっていた私には 合理的な解決方法は浮かばなかった。

見終わった後、アハマッドが走る姿にかぶさる単調なギターの音、 そして少年の散々な一日を思い返し、大いに笑った。