[POV: a Point of View]
バイブル佐藤忠男著「世界映画一〇〇選」秋田書店・昭和49年刊
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F | ★5 | 幸福〈しあわせ〉(1965/仏) | 恐怖を覚える程に余りに唐突に襲い来る喪失感と瞬く間にそれが過去の出来事として忘却される様は、家族という関係の危うい本質を衝き確かにそんなものだと思わせる深遠さがある。絵のように美しい画面だが実の親子だという4人のリアリティはドキュメンタル。 | 投票(3) |
F | ★4 | 地獄に堕ちた勇者ども(1969/伊=独=スイス) | 多重テーマを容易ならざる重層構造で描くが、「リア王」に於ける王不在の中で悪女の傀儡たるボガードが牽引するのが物語構造として如何にも弱い。しかし、替わって魑魅魍魎のようなホモセクシュアルを前面に突出させ退廃へと誘う歪な輝きを獲得した。 | 投票(1) |
F | ★4 | アラビアのロレンス(1962/米) | シャリフとクインを従えてのアカバ攻略をピークに映画は長い凋落に停滞感を強める。リーンの力技が随所に効いて惑わされるのだが構成は歪。色を添えるロマンスは皆無で代わるロレンスの少年愛嗜好も半端。その歪や半端を奥深さと捉えるも可だが。 | 投票(1) |
F | ★4 | 昼顔(1966/仏) | 妄想人妻のマゾヒスティック白昼夢はドヌーヴの上の空とブニュエルの冷めた諧謔が交錯して巧まざる可笑しみを表出する。貴族階級のインポも下賤な活力も等分に否定され嘲笑に晒され挙句に訪れる平穏。そんな中ヴィエルニの撮影だけ矢鱈に美しい。 | 投票(1) |
F | ★4 | サテリコン(1970/伊) | 今で言うノンポリ青年2人が彷徨うエログロの一大饗宴が繰り広げられる古代ローマの各シーンはフェリーニの集大成とも言うべきスペクタキュラーなイメージ造形で真に圧倒的のひとことなのだが…余りに凄すぎて疲れる。 | 投票(2) |
F | ★4 | アリスのレストラン(1969/米) | 反体制というほどの気構えもないフラワーなヒッピーライフは同年の『イージー・ライダー』と合わせ鏡でベトナム時代の楽天主義も一方の真実だったのだろう。良血アーロ・ガスリーの品良いおぼっちゃん顔が見た世界だとしても。それでもラストはシニカル。 | 投票(1) |
F | ★4 | Z(1969/仏=アルジェリア) | クタール撮影のポップとも言えるまでの明晰極まる地中海の陽光の下で又寓意を篭めた仮想国の物語としながら伊映画のような暗黒政治へのプロテストが描かれたことが驚きでさえある。アンビバレンツな魅力に充ちている。多少単純ではあるにしても…。 | 投票(1) |
F | ★4 | 恋する女たち(1969/英=米) | 後のアイヴォリー作品に通底する英文学の気品と芳香。やり放題未満のラッセル演出の頃合がこの時期最も好ましい。破綻するしかない2人とそうでない2人。その運命的詠嘆のアイロニーが醸し出されず終盤は物語世界に追従するだけな感がある。惜しい。 | 投票 |
F | ★3 | 太陽がいっぱい(1960/仏=伊) | 虐げられた末の反逆なのであるから感情移入できそうなものだし、映画は技巧を尽くしてドロンに片寄せもする。実際ドカエのカメラが捉える瑞々しい心の揺らぎは海上や市場のシーンでスパークしてる。だが、奥底に横たわる異物が棘のように引っかかる。 | 投票 |
F | ★3 | 尼僧ヨアンナ(1961/ポーランド) | 何故に神父は尼僧たちと共に堕ちて行かねばならないのか。その反道徳性・反社会性をストレートに見せるのではなく強固に難解なスタイルでもって回ったもどかしさがある。更に残念なことにそのスタイルにも一貫性がない。欠けているのは敗者の行事であり美学。 | 投票 |
F | ★3 | アルジェの戦い(1965/伊=アルジェリア) | 散発する局地的テロが仏軍の本格介入により全面戦争に至る。カスバ市街が爆破されヘリが空中を舞い数千人規模のモブシーンが展開されるのは凄いとしてもドラマチックじゃないのでしんどい。ドキュメントフィルムの壮大な再現であり、それ以上のものではない。 | 投票 |
F | ★3 | 軽蔑(1963/仏) | 醒めた視線は良いのだが、バルドーが夫をそんなに愛してるようにも見えなげで基本設定が成り立たず上滑る。本質下世話な主筋に付加されたバックステージもの映画へのオマージュも陳腐そのもの。特にラングの映画中映画は余りな抽象化の芸無さに幻滅。 | 投票 |
F | ★3 | パサジェルカ(1963/ポーランド) | 後年に幾度となく扇情的に再生産されたナチス収容所もの真摯な原型。わかっていても主人公の反抗の姿勢は緩くカタルシスは封印される。無言のプロテストに精神世界で追いつめられるまでの高踏的描写には至らない。未完で終わってるのもやはり痛い。 | 投票 |
F | ★3 | アントニオ・ダス・モルテス(1969/仏=ブラジル) | 意匠や設定は商業主義な定石に準拠しているのだが、そう思って見るとバイオレントもシュールも不足気味で余りにゆったりしたテンポがしんどい。勧善懲悪とは行かぬわだかまりの中行き着くところにカタルシスは無い。原色の力感溢れる画面は美しく音楽も強靭。 | 投票 |
F | ★2 | エレクトラ(1962/ギリシャ) | 荒涼そのものの風景の中で展開する本家本流ギリシャ悲劇はゴテゴテと修飾された現代演劇を太古の起源に遡るプリミティヴさで、それだけに、物語のパッションを共有できないならば只管に苦役とも思える忍従の時間を強いられる。屋外演劇めいたそれは正直退屈。 | 投票 |
F | ★0 | if もしも…(1969/英) |
F | ★0 | ラブド・ワン(1965/米) |
F | ★0 | アポロンの地獄(1967/伊) |
G | ★5 | ゲッタウェイ(1972/米) | 逆境下で強まる夫婦の絆がロードムービーの芯を成す。ゴミに埋もれて額に傷を負ったマッグローの愛おしさが2人の道行をドキュメンタルに基底。モンタージュもこなれて粋の極みだ。素晴らしく魅力的なシークェンスのみに彩られたペキンパーの最高作。 | 投票(3) |
G | ★5 | ジーザス・クライスト・スーパースター(1973/米) | 魂の相克と言うに偽りないソウルフルシャウトの連続で「今宵やすらかに」を筆頭に感涙ものの名曲揃いだ。演出はアイデアに富み歌詞イメージを時空を超え延伸させる。キャスティングも総じて良いがヘソ出しヘロデ王が好アクセント。ピラトの屈託顔もいい感じ。 | 投票 |
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