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[POV: a Point of View]
時代の痕跡ーATG公開作品(60年代日本映画篇)

胎動。メジャーへの反旗。
A★3おとし穴(1962/日)今となっては“体制内反体制映画”という批判すら色あせてしまうほど無残。特定のイデオロギーによりかかった表現のなんと脆弱な事。一柳慧の音楽が唯一の救い。投票
B★4彼女と彼(1963/日)漠たる幸福の拒絶と無産への回帰願望。大陸からの引揚者だという直子(左幸子)は、無意識のうちに“定住”に抗う女なのだ。転がるように豊かさを目指して猛進する60年代。そんな時代の「総意」に、彼女が正統かつ対等に抗う手段が無意識の「善意」だったのだ。 [review]投票(1)
B★0みんなわが子(1963/日)
C★2とべない沈黙(1966/日)旧弊に抗う不倫、被爆に引き裂かれる女と男、アプレガールに戸惑う旦那、都市サラリーマンの虚無、謎の海外シンジケートにヤクザ抗争。戦後成長期の混沌と多義性がテーマらしく、持ち込まれた素材がいわくありげだが、結果、大した意味もなく映像が垂れ流される。投票
C★0憂国(1965/日)
D★5人間蒸発(1967/日)今、目のまえで繰り広げられている「現実」や「事実」といったものは、すべて「起こったこと」の「結果」であり、「起こったこと」には、偶然「起きたこと」と意図的に「起こされたこと」の双方が含まれるということ。何のことはない、ただの「日常」と同じ意味だ。 [review]投票(2)
D★2忍者武芸帳(1967/日)当時の左翼学生のバイブル的劇画の映画化。でも映画になってない。どんな立派な理屈を並べて、取りつくろってもダメ。ただただ、金が無かっただけでしょ。投票
E★5肉弾(1968/日)何かに反抗するわけではなく、いたって従順。かといって諦観するでもない。ニヒリスト、合理主義者とも少し違う・・・こんな男がいちばん強くて怖い。投票(5)
E★4絞死刑(1968/日)舞台もの的観念劇に陥りそうな脚本ながら、限界まで濃密に設定された空間を、縦横無尽に行き来する計算され尽くしたカメラワークが秀逸で、見事な飛翔をみせる密室映画の傑作。死刑制度を超越し、北朝鮮をも含む全ての国家を懐疑するアナキスト大島の面目躍如。投票(2)
E★2初恋・地獄篇(1968/日)イメージの連鎖といえば聞こえは良いが、ただの絵空ごとの羅列。たかだか10代の少年や少女だって、こんなに複雑でデリケートな心情を生きているんですと、さりげなくアンチ社会、アンチ論理、アンチ政治で語ったつもりだろうが、どうにも地に足がついていない。 [review]投票
E★0さらば夏の光(1968/日)
F★4薔薇の葬列(1969/日)当時、流行りの観念ではなく風俗をベースに時代を捉えようとしたところに共感を感じる。地に足が付いた視点は、今も風化していない。投票
F★3新宿泥棒日記(1969/日)頭の中で考えた“性の解放”からなんとか飛躍しようと、また頭の中で考る。そんなジレンマを感じてしまう。30年前の性意識。投票(5)
F★3少年(1969/日)継母にとともに脱出を図ろうとする少年に向かって、肩の傷痕をさらし戦友の死をがなりたてる父親の被虐的諦観に戦後20余年を経てなお社会の底辺に隠れ徘徊する敗戦の亡霊を見る。冒頭の黒い日の丸ほど寡黙に国家を挑発したシーンを私は見たことがない。投票
F★3心中天網島(1969/日)例えばコラージュという分野に、楽しさや美しさや驚きは感じるが、生臭い息吹きやパッションを感じたことがない。映画を作るということは、ビジョンに裏打ちされた意志の有無の問題であり、時の先鋭をただ器用に並べてみたところで何かが生まれる訳ではない。 投票(2)
●未登録作品『河 あの裏切りが重く
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このPOVを気に入った人達 (4 人)tredair 華崎 町田 マッツァ