[あらすじ] ラルジャン(1983/スイス=仏)
原題「ラルジャン」とは「金銭」の意味。
ある少年が使った偽札が、めぐりめぐって、主人公イヴォンに罪を着させられ、投獄される。服役生活の中で、子供の死と妻からの離縁を知らされる。平凡な妻子ある生活から偶然の悪意に翻弄されたイヴォンは牢から出たあと、衝動的な殺人を重ねていくことになり。。
原作はトルストイの「にせ利札」ではあるのだが、映画はその骨格を利用しながら、随所で物語を崩壊させブレッソンの「ラルジャン」として再構築している。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけの解説です。
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トルストイの「にせ利札」は、小説の後半部において、罪を犯し、告白をしたあとから、主人公の神を受け入れる姿が描かれる。それこそ、トルストイの信仰を巡る物語である。
ブレッソンのこの映画にラストに対して自ら言及した言葉 「彼らは空虚を見つめているのです。そこにはもはや何もありません。 善は去ってしまったのです。」 をそのまま信じるのであれば、ブレッソンが意図的にトルストイが書いたものを奪い取ったところにこそ、この現代におきかえ直した映画の主題が見えてくるのかもしれない。
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