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ぽんしゅうさんのあらすじ: 更新順

★4ほかげ(2023/日)敗戦直後の焼け野原の町。半焼けのあばら家となった居酒屋に死んだように潜む女(趣里)がいた。女は訪ねて来る男に酒を出して体を売る。女のもとに元教師の若く気弱な帰還兵(河野宏紀)が入りびたるようになり、闇市で食べ物を盗んでは逃げ込んでくる10歳ぐらいの戦争孤児(塚尾桜雅)とともにいついてしまう。女から盗みを止めて仕事を探すように言われた孤児に、いい仕事があるとテキ屋の男(森山未來)が声をかけてくる。戦争の深い傷を抱えた者たちの絶望と、その先の希望を模索する塚本晋也のオリジナル脚本/監督作。(95分)[投票]
★4正欲(2023/日)会社員の佐々木(磯村勇斗)は自分の性癖に悩み世の中から自身の存在を消してしまいたいと思っていた。量販店の販売員・夏月(新垣結衣)もまた思春期のころから出来るだけ他人と関わらないようにして生きてきた。検事の寺井(稲垣吾郎)は学校へ行けない10歳の息子を理解できずにいる。男性が苦手で過度に反応してしまう大学生の八重子(東野絢香)だが、ダンスサークルの孤高の同級生・大也(佐藤寛太)のことが頭から離れなくなってしまった。生まれつきの嗜好や性癖のため世間と相いれず孤独と疎外感に苦しむ人々の希望をさぐる群像劇。港岳彦脚本、岸善幸監督による朝井リョウの同名小説の映画化。(134分)[投票]
★4アブノーマル(1993/豪=伊)製作から30年を経た2023年に『悪い子バビー』の題名で日本初の劇場公開となったロルフ・デ・ヒーア監督の1993年のベネチア国際映画祭 審査員特別賞受賞作。「ドアの外の世界は猛毒で汚染されていて部屋を出ると死んでしまう」 バビー(ニコラス・ホープ)は、そう母親(クレア・ベニート)からきつく言い聞かされて35年間一歩も部屋を出ず育った。10代でバビーを生み二人きりで過ごしてきた母は豊満な肉体で性的にもバビーを支配していた。そんなバビーがある男の訪問をきっかけに外の世界へ。見るのも聞くものすべて初めてのことばかり。そんなバビーの突飛な言動が周囲の人々を巻き込んでいく。(114分)[投票]
★3モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン(2022/米)12年間、精神病院の隔離病棟で拘束されていたアジア系の女モナ・リザ・リー(チョン・ジョンソ)は、赤い満月の夜、思いのままに他人を操る特殊能力を手に入れる。自由を求めてリザは、看守たちを力でねじ伏てニューオリンズの街へ脱出する。右も左も分からないリザをかくまったシングルマザーのポールダンサー・ボニー(ケイト・ハドソン)は、彼女の能力を利用して不正な金を稼ぎ始めた。そんな母を12歳の息子(エヴァン・ウィッテン)は軽蔑し反感を抱く。やがてリサを追う警官(クレイグ・ロビンソン)の捜査の手が、彼女たちに迫るのだった。アナ・リリ・アミリプール脚本/監督のファンタジー・ミステリー。(106分)[投票]
★3花腐し(2023/日)2012年。5年間作品が撮れないピンク映画の監督・栩谷(綾野剛)と、かつて脚本家を目指していた伊関(柄本佑)。中年期に差し掛かった二人の男は、ひょんな因縁で出会いアパートの一室でかつて一緒に暮らした女の話を互いに語り合うことに・・・。栩谷は6年間同棲したうえに思いが通じなくなり、最近同僚の監督(吉岡睦雄)と心中したピンク映画の女優のことを。伊関は20代だった2000年頃に互いの夢を共有し一緒に暮らした小劇場の駆け出し女優の思い出を。二人はその女が祥子(さとうほなみ)という同じ女だとは気づかずに・・・。外は重たい雨が降り続く。荒井晴彦脚本(共同)/監督による松浦寿輝の芥川賞受賞作の映画化。(137分)[投票]
★4春画先生(2023/日)喫茶店に努める弓子(北香那)は、常連客で春画先生と呼ばれる日本美術史家の芳賀(内野聖陽)の言葉に導かれるように彼の家を訪ねた。そこで芳賀の高説を聞くうちに弓子は春画のとりことなってしまう。内弟子となった弓子はやがて先生に思いを寄せるようになるが、芳賀の心は亡くなった妻(安達祐実)のもとにあるようだった。そんな二人の関係は、やはり先生の弟子を自任する美術書の編集者・辻村(柄本佑)の出現によって思わぬ展開へと向かうのだった。性の神秘に導かれる女と男の顛末を描く塩田明彦脚本・監督のセクシャル・ミステリー。(114分)[投票]
★3愛にイナズマ(2023/日)デビュー作の準備を進める新米映画監督の折村花子(松岡茉優)は口下手なこともあり、軽佻なプロデューサー(MEGUMI)と理屈っぽいベテラン助監督(三浦貴大)に翻弄され滅入り気味。そんなときに知り合った優しいが生き方が下手な役者崩れの正夫(窪田正孝)に癒され意気投合する。同じころ独り暮らしの花子の父・治(佐藤浩市)は、実家を出たきり音信のない花子となんとか連絡を取ろうとしていた。やがて花子は実家の父のもとに長男・誠一(池松壮亮)、次男・雄二(若葉竜也)とともに集まることになるのだが、この一家ひとすじ縄ではいかない事情を抱えていた。石井裕也脚本/監督による家族の再生コメディ。(140分) [投票]
★4まなみ100%(2023/日)自分の興味のある範囲にしか気が向かず女の子との付き合いも中途半端なボク(青木柚)。2010年、そんなボクは高校の同級生まなみちゃん(中村守里)にひと目惚れ。友人の熊野君(下川恭平)と町君(藤枝喜輝)を誘って、まなみちゃんのいる体操部に入部した。デートを重ねプロポーズもしたが、まなみちゃんは本気にしてくれない。卒業後は、それぞれの進路を歩み2019年の今日、ボクは今でも大好きなまなみちゃんの結婚式にビデオカメラマンとして参加するところなのだ。”まなみちゃん”を想い続けたボクの青春クロニクル。1994年生まれの新鋭川北ゆめき監督が自身の体験をもとにした原案をいまおかしんじの脚本で映画化。(101分)[投票]
★3こいびとのみつけかた(2023/日)いつも柔和な笑みを浮かべた社和(トワ)(倉悠貴)は、思ったことはすぐ口出してしまうピュアな青年だ。親方(川瀬陽太)のもとで同僚(奥野瑛太)と植木職人の見習いをしているが、その言動はときに正直すぎて周りを戸惑わせてしまうこともある。そな社和が、すっと想いを寄せていたコンビニの女性店員・園子(芋生悠)を突飛な方法でデートに誘い、みごとに成功してしまう。一風変わった微笑ましいカップルだが、やがて二人それぞれが抱えた心の陰や避けがたい現実が露わになっていく。『婚前特急』『まともじゃないのは君も一緒』の脚本高田亮、監督前田弘二コンビが生きにくさの苦悩と光明を描くメルヘン・ストリー。(99分)[投票]
★4さよなら ほやマン(2023/日)宮城県石巻の寂れた島。若い漁師のアキラ(アフロ(MOROHA))は弟のシゲル(黒崎煌代)と二人暮らし。漁師としてはまだ半人前で叔父タツオ(津田寛治)と一緒に漁に出る。両親が残した借金があるうえに新しく買った船の支払いに追われ生活はジリ貧状態だ。そんな二人が暮らす島に都会から女が流れて来た。美晴(呉城久美)というその女、態度がやたら横柄で図々しく、何故か大金を紙袋に入れて無造作に持ち歩いている。そんな美晴は金に飽かせて兄弟の家を買い取ると言い出し強引に住み着いてしまうのだった。寄る辺なき者と土地に縛られた者が繰り広げるハートフルコメディ。石巻出身のCFディレクター庄司輝秋初の劇場用長編映画。(106分)[投票]
★3シン・ちむどんどん(2023/日)2022年の沖縄県知事選は、オール沖縄が推す玉城デニー(現職)、前回に続き自民・公明が推薦する佐喜真淳(元宜野湾市長)、日本維新の会を除名された下地幹郎(元衆議院議員)の三人によって争われた。現地に乗り込んだダースレイダープチ鹿島が候補者たちに突撃取材で迫る選挙ドキュメンタリー第2弾。二人の関心は候補者たちはNHKの「ちむどんどん」を見ているかどうか! 取材を続ける二人の足は必然的に争点となっている辺野古の新基地建設現場へ向かう。そして玉城が再選を果たした翌月、辺野古で座り込みを続ける反対派を冷笑するツイートに大量の「いいね」が付く騒動が起きた。基地問題の根深さを探るために二人は再び沖縄へ向かう。(98分)[投票]
★4国葬の日(2023/日)2022年9月27日。日本武道館において安倍晋三元首相の国葬が執り行われた。日本全国の「その日」の人々の営みと国葬への思いを問うていく大島新監督のドキュメンタリー。献花の列と反対派と警備隊の小競り合いが並立する東京の式場周辺、安倍の地元山口の事務所近辺、一年前に起きた奈良の銃撃事件現場、台風の直撃を受け泥まみれとなった静岡県清水の水害現場、反対派が集う沖縄県辺野古の基地建設現場、原発事故に翻弄された福島県南相馬、さらに京都、広島、札幌、長崎をカメラはめぐる。事前の世論調査によれば、国葬の賛否はおおむね賛成が4割、反対が6割と国民の意見は激しく対立していたはずだったが・・・。(88分)[投票]
★4ヨーロッパ新世紀(2022/ルーマニア=仏=ベルギー)ドイツに出稼ぎに来ていたルーマニアのマティアス(マリン・グリゴーレ)は差別的な扱いを受けて故郷へ舞い戻る。そこはルーマニア、ハンガリー、ドイツ語が入り乱れるトランシルヴァニアの小さな町。妻との仲は冷め、ドイツ系の父は身体がすぐれず、8歳の息子はトラブルが原因で言葉が出なくなっていた。マティアスは地元のパン工場でマネージャを務める昔の恋人シーラ(ユディット・スターテ)に心身の癒しを求めるのだった。そんなおりパン工場のアジア人労働者に向けられた町の人々の偏見が憎悪となって暴走し始める。EU加盟により活発化した交流が人々の不寛容を顕在化させるという矛盾を描くクリスティアン・ムンジウ監督作。(127分)[投票]
★4宇宙探索編集部(2021/中国)1990年代にUFOや宇宙人のブームに乗って人気を博した雑誌「宇宙探索」だが今や廃刊寸前。編集部員たちのヤル気は失せ士気は上がらずスポンサー探しも上手くいかない。そんななか中国西部の山村で宇宙人による怪現象が起きたとの情報が入る。宇宙人の存在を頑なに信じて止まない編集長のタン(ヤン・ハオユー)は腐れ縁の片腕編集者ツァイロン(アイ・リーヤー)らを連れて探索へと向かう。村人たちに聞き込みを進めるなか頭に鍋を被った不思議な少年スン・イートン(ワン・イートン)に出会うのだった。宇宙人探しに執念を燃やす男のファンタジーコメディ。1990年生まれの中国の新鋭コン・ダーシャン監督/脚本による長編デビュー作。(118分)[投票]
★3月(2023/日)かつてヒット作を出した小説家の堂島洋子(宮沢りえ)だが今は作品が書けなくなり、まだ芽の出ない人形アニメ制作者の夫昌平(オダギリジョー)と二人でひっそりと暮らしていた。そんな洋子は生活のため、そして小説のヒントを求めて森のなかの重度障がい者施設で働き始める。明るく屈託のない先輩職員の陽子(二階堂ふみ)に案内され施設をまわるうち、自らをさと君と呼ぶ青年職員(磯村勇斗)と出会う。洋子はやがて彼がゆがんだ正義感から“ある計画”を実行しようとしていることを知るのだった。2016年に神奈川県相模原市で起きた知的障がい者殺傷事件に材を得た辺見庸の同名小説の映画化。監督/脚本は石井裕也。(144分)[投票]
★3バーナデット ママは行方不明(2019/米)学生時代から建築家としてその才能が注目されていたバーナデット(ケイト・ブランシェット)だが挫折を経験して以来すっかり人間嫌いの変人に。中学生の娘ビー(エマ・ネルソン)とITエンジニアの夫エルジー(ビリー・クラダップ)との仲は良いのだが近所付き合いが苦手でトラブルばかり。なかでもビーの同級生の母親オードリー(クリステン・ウィグ)との関係は最悪。そんななかビーが卒業祝いに家族で南極旅行に行きたいと言い出した。何とか娘の希望に応えようとするバーナデットだがどうにも気が重い。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー小説「whereʼd you go Bernadette」を映画化したヒューマンコメディ。(108分)[投票]
★4沈黙の自叙伝(2022/インドネシア=仏=シンガポール=ポーランド=フィリピン=独=カタール)インドネシアの田舎町。ラキブ青年(ケビン・アルディロワ)は、父の後を継いで代々仕えてきた地元の名士で退役将軍(アースウェンディ・ベニング・サワラ)の屋敷で使用人として働き始める。元将軍はラキブに対し父親代わりのように親身に接し、ラキブもまた尊敬と信頼を抱くようになる。そんなおり首長選に立候補した元将軍のポスターが何者かによって破り捨てられる事件が起きる。ラキブは町の仲間たちのネットワークを使て犯人を見つけ出すのだが・・・。これはインドネシアという国家の自叙伝だという新鋭監督マクバル・ムバラクの初長編作。ヴェネチア映画祭 国際映画批評家連盟賞、東京フィルメックス最優秀賞受賞。(115分)[投票]
★3アンダーカレント(2023/日)亡き父から家業の銭湯を継いで夫婦で切り盛りしていたかなえ(真木ようこ)の夫が突然疾走してしまう。つとめて明るく気丈に振る舞うかなえだが、ときおり得体のしれない不穏な悪夢に襲われていた。新たに従業員を募集して休業していた銭湯を再開することにした彼女のもとに、ぜひここで働きたいと寡黙な男・堀(井浦新)が訪ねて来る。一方、友人から紹介され夫探しを依頼した探偵(リリーフランキー)の報告で、かなえは今までまったく知らなかった夫(永山瑛太)の人生を知るのだった。今泉力哉脚本(共同)/監督による人の心の内側に流れる「本心」に迫るミステリー。原作は豊田徹也の漫画。(143分)[投票]
★4白鍵と黒鍵の間に(2023/日)1988年。ジャズピアニスト志望の若者・博(池松壮亮)は「銀座」で修行しろと恩師の宅見(佐野史郎)に言われ場末のキャバレーでピアノを弾き始めた。右も左も分からず言われるままピアノを弾く博。そんな彼の才能を見抜いたチンピラヤクザ風の男(森田剛)から「ゴッドファーザー」のテーマを弾いてくれとリクエストされる。ところが「この曲」が思わぬ事態を引き起こすことに・・。同じころ近くのクラブでは、リーダーの三木(高橋和也)が率いるバンドのピアニスト南(池松/二役)と千香子(仲里依紗)が、条件が違うとごねるアメリカ人歌手リサ(クリスタル・ケイ)に手を焼いていた。原作はミュージシャンの南博の回顧録。(94分)[投票]
★4バカ塗りの娘(2023/日)青森の弘前。バカ丁寧に漆を塗り重ねる津軽塗職人の娘美也子(堀田真由)はスーパーで働き家計を助けながら父(小林薫)の手伝いをしていた。家庭を顧みない父に愛想をつかし母(片岡礼子)は家を出て、長男(坂東龍汰)も跡を継がず美容師として自活していた。名匠と呼ばれた祖父(坂本長利)もいまは施設で暮らす。そんな斜陽家業に老いのせまった父の気力も失せ始めていた。内気でおっとりした美也子は外で働くより津軽塗の仕事が好きだが、家父長制の色が濃く将来の展望も見えない仕事を継ぎたいと言い出せずにいた。青森出身の児童文学作家高森美由紀の原作を万田邦敏黒沢清に師事した鶴岡慧子監督が映画化。(118分)[投票]