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tredairさんのあらすじ: 更新順

★4黄金時代(1930/仏)自由の幻想』同様に、場面ごとにある「ちょっとしたもの」が次の場面につながる連想形式。つまり、大きな流れとなる話などありゃしない、(それを含めて)ブニュエル風味満載のモノクロ60分。 [more][投票(1)]
★4キッズ・リターン Kids Return(1996/日)いつの時代かと言われるとちょっと困るような設定の、どうやら下町。高校生のマサルとシンジは今日も仲良くバカばっか。どっちかと言うと兄貴分のマサル、一見おとなしそうなシンジ。周りには漫才師を目指すコンビや喫茶店の女にいれあげてる奴、どうしようもないダメダメ不良グループなんかもいて、みんなそれなりに青春している。でも、本当にやりたいことはみつからないマサルとシンジ。なんだかプスプスくすぶりっぱなしの日々。そんなある日、ひょんなことをきっかけにふたりはボクシングと出会い、ジムに通いはじめるが…。北野武の映画らしく、ちゃんといつもの「スネに傷を持つ人々」も登場する108分。[投票(5)]
★4予告された殺人の記録(1987/仏=伊=コロンビア)ラテンアメリカのどこかにある小さな村。鉄道も走らぬこの閉鎖された川沿いの村に、ある日、見慣れない男、バヤルドがやって来る。彼は広場で見かけた美しい娘、アンヘラに一目ぼれし強引に求婚。バヤルドがかなりの金持ちであるらしいということから家族に説得され、アンヘラはそれを承諾。が、初夜に新婦が処女ではないと知ったバヤルドは、(しょんぼりして)アンヘラを母のもとへ突っ返す。驚いた家族は彼女からその「お相手」を聞き出し、アンヘラの双子の兄弟は、そこで登場した村でも屈指の色男、サンティアゴへの復讐を誓う。そして、村中が事前に知っていたという「予告された殺人」が、白昼堂々と行われようとする…。キャストも含め、濃い雰囲気ムンムンの1時間50分。原作は、ノーベル賞作家にして映画制作者でもあるガルシア・マルケス。[投票]
★5アタラント号(1934/仏)セーヌをひたすら上り下りするだけの船、艀(はしけ)。若き船長であるジャンは村娘のジュリエットと結婚したばかり。ラヴラヴなふたりの新婚生活は順調なように思えたが、やがてジュリエットは艀での単調な生活に飽きだし…。短編も含みたった4本の作品を残し、29才で夭逝したジャン・ヴィゴ。彼の遺作にして代表作でもあるこの映画は、(その前作がアナーキー過ぎると公開禁止を受けたことなどから)配給会社により初めは24分も短縮され、タイトルも当時のヒット曲「流れゆく艀」に変更されるという憂き目にあう。が、1990年、イギリスでひょっこり元のフィルムが見つかったことにより、その年のカンヌ映画祭でみごとに復元公開。絶賛される。公開までのいきさつ付き、101分。[投票(3)]
★5不良少女モニカ(1952/スウェーデン)不良というよりもむしろ享楽的で自己中心的、けれども言いようのない魅力を持つ野性的な少女モニカと、青年らしい生真面目さと優しさを持ちそこそこの暮らしをしつつも孤独を抱え込むハリーが出会い、恋におちる。そして彼らはともに旅をし一夏を過ごすのだが…。この映画で(たぶん)デビューしたハリエット・アンデルセンは、その後もベルイマン作品にしばしば出演し続けている。ので、もし「今からベルイマンをごっそり見るぞ!」と思う方には(その後の楽しみを増やすうえでも)最初の一本としてオススメ。ややビターな北欧の青春。その美しくも短い夏をとらえたモノクロの92分。[投票(1)]
★5セコーカス・セブン(1980/米)60年代末に反戦運動を通して知りあった7人の男女が、10年ぶりのある週末に久々に再会するというそれだけの話。撮影期間1ヶ月、制作費12万ドル(当時のハリウッド映画における1日分の制作費)で、出演者も監督の友人や無名の俳優ばかり。衣装は自前、ノーメイク、移動撮影ナシ、かつ、脚本や出演とともに編集もこなした監督は、レンタル編集機に付いてきた解説書と首っ引きでフィルムをつないだとのこと。そのようなショボいスタートではあったが口コミで話題を呼びロングラン。その年のロサンゼルス映画批評家協会最優秀脚本賞を受賞し、「タイム」等の各雑誌が選ぶベストテンにも選ばれる。後に『再会の時』としてハリウッドにもパクられた、少しトウが立った世代の106分の青春映画。[投票(1)]
★5ヘアスプレー(1987/米)1962年のボルチモアを舞台とした、オールディーズがガンガン流れる(ちょっとだけ下品な)ミュージカル。『ピンク・フラミンゴ』で大人気!みんなのアイドル、ディヴァイン様が出演した最期の映画であり、また、今ではすっかりやせてしまった リッキー・レイクのパッツンパッツンな笑顔が見られるデビュー作。実際にあった黒人差別事件を題材の一つとして、当時のアメリカ文化や若者像などが「カレンズ・ショー」という架空のダンス番組を軸に描かれてゆく。ソニー&シェールのソニー・ボノやブロンディのデボラ・ハリー、ザ・カーズのリック・オケイセック、ルース・ブラウンなど、(まるでアメリカ版三谷幸喜というか竹中直人というかの)多彩な出演者も見どころの94分。[投票(2)]
★5ラスト・オブ・イングランド(1987/英)あらすじも何も監督自らが「ストーリーはありません。ちょっとしたラヴストーリーはありますが。セリフもない。1920年代の後半に誰かが無声映画にこれを持ち込んで、以来、映画は拘束されるようになってしまった。」と語る物語のない(けれど饒舌な詩を内包した)映画。すでにAIDSにおかされていた監督自身の現在の姿と、彼の祖父母が家庭用ビデオで撮影したという20年代末の中流家庭の様子、ロンドン郊外等の廃墟やそこをさまよう青年、そして、ちっともハッピーじゃない近未来の暴力的イメージ。サイモン・ターナーの音楽とともに様々な美が押し寄せ通り過ぎてゆく、めくるめく87分。この象徴的なタイトルは「ヴィクトリアン・バリューズ」から「ザ・デッド・シー」、「G.B.H(内容に問題あり、という意味らしい)」と変遷した結果、決定したものとのこと。[投票(1)]
★5自転車吐息(1990/日)新聞配達をしながら浪人生活をする史郎と圭太。受験勉強よりも高校時代に撮りはじめた8ミリを完成することにご執心な史郎に対し、圭太は三浪というプレッシャーに押しつぶされそう。そんな彼らのもとに、今は東京で暮らす圭太の元恋人、京子がしばらく帰省するという噂が…。監督による主演はもちろん、家族まで総動員して撮りあげたといういかにもな(ややワンマンぎみ)自主映画。「俺」という旗を持って疾走する、マッチ一本の灯りで見渡せる93分の青春碑。「終わりだ。嘘ももうつくな。精算してくれ!君の青春を!」監督の意向ということで永らくビデオ化されていなかったが、気が変わったのか2001年にはDVD化までされたとのこと。89年度PFFグランプリ受賞のスカラシップ作。[投票(3)]
★5今宵限りは(1972/スイス)「毎年5月16日、聖ネポムクの記念日に、召使たちのための宴会が開かれる。その日は夜中の12時まで、主人と召使いは立場を変えるのである」という字幕から始まる(特に物語はない)夢幻の1時間30分。日ごろの主従関係を逆転させ、貴族たちが召使いのために延々と宴会芸を見せるというただそれだけの話。けれどもそこにはシュミットならではのブラックユーモアや徹底した美意識もしっかりつまっていて、原題の「Heute Nacht oder nie」は邦題では「今宵かぎりは…」と曖昧にしてあるものの、「今宵こそは、さもなくば無」とも読めるのだそうです。リズムがかなり緩慢なので、体調や状況によっては熟睡できるでしょう。聖ネポムクは、場所によってはワインの神様でもあるとのこと。[投票(2)]
★5ラ・パロマ(1974/スイス)娼婦であり歌姫でもある(まるで『嘆きの天使』等でのマレーネ・ディートリッヒを思わせるキャラの)ラ・パロマと、彼女に惚れ込みプロポーズする(つまり例のニワトリ教授を思わせる)青年貴族イジドールの不思議な恋物語。バリバリのメロドラマではあるが、へんてこなカメラやあやしい演技、突然はじまるオペレッタなどデカダン風味の見どころ(つまり眠りどころでもある)がいっぱい。独特の、腐りかけの桃のような色香が全編を通し気だるく漂い、最後まで起きていられれば「映像の魔術師」ダニエル・シュミットを堪能。できるだろう1時間50分。眠れぬ夜にオススメします。[投票(2)]
★3暗黒の恐怖(1950/米)様々な国からの移民でにぎわうニューオリンズのとある町で、ある日、密入国者の死体が発見される。その死体を調べたところ空気感染する伝染病にかかっていることがわかり、潜伏期間の48時間をタイムリミットに、衛生局の医師と刑事は「保菌者=殺人犯」を探し回る…。まだ若い行政サイドの医師とベテラン刑事との対立や友情。警察機構vsマスコミのたたかい。組織内における上層部と現場の確執。仕事に追われる夫とその妻の夫婦愛等々。『アウトブレイク』や『踊る大走査線』の元祖?!ともとれる93分。[投票]
★3ナイルの娘(1987/台湾)母を失って以来、父や兄シャオファンとともに暮らす孤独なシャオヤン。彼女にとっては「ナイルの娘」だけが心のよりどころだ。これは日本の漫画「王家の紋章」で、彼女はそのロマンティックな物語のヒロインに自分を重ね合わせ、また、兄の友人であるアーサンをヒーローにみたてては密かに憧れている。けれどもある日、もともと不良仲間だった兄とアーサンはとある事件にまきこまれて…。ホウ・シャオシェンによる台湾産のアイドル映画。「恋恋風塵」と「悲情城市」の間に撮られた84分の小品。[投票]
★3結婚(1993/日)<第1話>長尾啓司による豪華絢爛なラブコメ。オーストラリアを舞台に、大金持ちの青年実業家(中井貴一)と芦屋の令嬢を装ったフツーのOL(鷲尾いさ子)との恋の駆け引きが繰り広げられる玉の輿モノ。<第2話>鈴木清順によるスラップスティックコメディ。スターの座を獲得するために有名女優(原田貴和子)との結婚をたくらむ売れない役者(陣内孝則)と、そんな彼に恋する高校時代の後輩(原田知世)の結婚騒動、つまりドタバタ。<第3話>恩地日出夫によるハートウォーミングな片想い叙情。北海道の港町でたった一つの「約束」を信じて男を待ち続ける女(名取裕子)と、そんな彼女の気持ちを知りつつもそばを離れられない男(佐藤浩市)のオトナの恋愛。[投票]
★3モダーンズ(1988/米)1920年代のパリ。アメリカからやって来た売れないイラストレーターで贋作の達人でもあるニック・ハート(キャラダイン)、正体不明の実業家で元フーディーニの弟子とも噂されるベルトラン・ストーン(ローン)、そして二人を翻弄するあどけないファムファタール、レイチェル(フィオレンティーノ)。ヘミングウェイやガートルード・スタインなど実在の人物も登場し、美術や衣装、音楽も含め、当時のパリの風俗を鮮やかに再現。3人の恋の行方を縦糸に、セザンヌ、モジリアニ、マチスの贋作をめぐるちょっとした事件も展開される。キース・キャラダインジョン・ローンのボクシング対決も(たぶん)見どころな128分。[投票]
★5オルフェ(1950/仏)竪琴の名手オルフェウスは美しいエウリュディケと結婚。けれどもある日、彼女は毒蛇にかまれ死亡。オルフェウスは冥界へ彼女を迎えに行き、その竪琴の音色で黄泉の国の王ハデスの心を動かす。ところが彼女を再び地上に連れ戻すための唯一の条件「地上に着くまでのあいだ決して後ろを振り向かないこと」を破ったため失敗し、悲しみのあまり発狂して死に至る。…という琴座(ヴェガ)にまつわる有名なギリシヤ神話を、思いっきりコクトー流に脚色した作品。オルフェは現代のカフェにたむろする詩人で、身重の妻ユリディスよりも黄泉の国の美しい女王にご執心。冥界への入り口は鏡、鍵は手袋、死に神はオートバイに乗って暴走。冥界では(なんと!)裁判まで開かれている…、といった112分。[投票(3)]
★4カルメン(1983/スペイン)メリメの有名な戯曲をフラメンコシーン盛りだくさんの異色ミュージカルとして映画化。舞台でカルメンを演じるカルメン(本名もカルメンという設定。ややこしくてすみません。)とドン・ホセを演じるアントニオの現実世界での恋物語が、舞台で演じられるシナリオと交錯していくという、これまたややこしい構成。アントニオ役のアントニオ・ガデス(これもややこしいなぁ。)は自ら舞踏団を主宰するフラメンコ界のカリスマだそうで、この作品の振り付けも一手に引き受けているとのこと。同年に制作されたフランチェスコ・ロージによる同原作の映画「カルメン」でも振り付けを担当しているそうなので、見比べてみるのもよいかもしれません。ガデスに魅せられる101分。[投票]
★5めぐり逢う朝(1991/仏)実在したヴィオール奏者、サント・コロンブとその弟子マラン・マレの16年間に渡る愛憎関係を通し「真の芸術の探求」という普遍的なテーマにせまった作品。ヴィオールとはバロック時代にもてはやされた弦楽器で、ホールよりも室内での演奏に適していたこと等から、音楽が大衆化し大音量が求められるに連れ(モーツァルトの時代には)姿を消してしまった古楽器。バロック音楽の再評価の高まり等で近年になって見直され、この映画が公開された当時は「古楽ブーム」となりサントラもヒットした。ドパルデュー親子の初共演でも話題を呼んだ115分。[投票]
★3巴里を追いかけて(1987/仏)ヌーヴェル・ヴァーグが花開く直前のパリを舞台とした、シネクラブ創設を夢見る若者たちの恋愛&青春ドラマ。数々の既存映画に対するオマージュ場面はそのオタクぶりが無気味で笑うに笑えないが、その引用場面にこそこの映画の醍醐味がある(と思われる)。1988年イスタンブール映画祭グランプリ受賞。トリュフォーやゴダール好きは必見?!の114分。[投票]
★5キツツキはいない(1984/豪)日常のふとした瞬間に頭に思い浮かぶような、とりとめのない想像や奇妙な連想。それらをオムニバスとして映像化した、モノクロ12分30秒の実験的作品。当時のジェーン・カンピオンはルイス・ブニュエルに傾倒していたそうで、原題の「PASSIONLESS MOMENT」とは、心理学用語で「無為の瞬間」という意味であるらしい。同時上映の「ピール」は、少年がオレンジの皮を窓から投げ捨てたことをきっかけに、家族一人一人の内面があらわになってゆく作品(カラー、9分)。「彼女の時間割」は、かなり不幸な家庭環境にある、ちっとも可愛くない60年代の多感な少女たちをあたたかい視線で描いた作品(モノクロ、27分)。[投票(1)]