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[あらすじ] 元禄忠臣蔵・前編(1941/日)

元禄14年3月14日、松の廊下で吉良上野介(三桝万豊)に斬りつけた浅野内匠頭(嵐音三郎)に、即切腹、お家は取り潰しという沙汰が幕府から下った。急を聞いた国元では、城に立てこもって徹底抗戦するか、主君に殉じて一同切腹するかの議論が巻き起こったが、城代家老の大石内蔵助(河原崎長十郎)は主君の恨みを晴らすことを主張し、城を幕府に明け渡すことを決定。やがて京に隠退し、伏見で遊興にふける大石を見て他の浪士たちは訝るが、幕府の重鎮で内匠頭に同情的だった徳川綱豊(市川右太衛門)は大石の真意を察して浪士たちを諭すのだった。[112分/モノクロ/スタンダード]
Yasu

真山青果の原作は、講談や浄瑠璃向きに脚色された従来の「忠臣蔵」とは違い、あくまで史実に忠実に描いたものである。

それを受けて映画化された本作では時代考証に徹底的にこだわった。江戸城で勘定奉行を務めていた家の子孫から城内の図面の提供を受け、これをもとに建築監督の新藤兼人は実際の松の廊下と寸分違わないセットを組み上げてしまった。これが「原寸主義」とこの映画が呼ばれる所以である。

こうして、映画を1本作るのに10万円あれば十分といわれた当時としては破格の53万円という予算を注ぎ込んで完成した本作は、赤穂浪士の討ち入りの日に合わせて12月14日に封切られたが、その6日前に太平洋戦争が開戦していた影響で、初日の観客はごく僅かだったらしい。

そのせいもあってか興行的には大失敗で、製作会社の興亜映画は莫大な製作費を回収できずに倒産に至り、松竹があとを引き継いで後編を完成させることになった。

(評価:★3)

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