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[あらすじ] 東京暮色(1957/日)

銀行の監査役・杉山(笠智衆)の家に、夫とうまくいかない長女・孝子(原節子)が出戻ってきた。心配になる杉山だが、次女・明子(有馬稲子)も何だか秘密を抱えているらしい。一方、明子のほうは遊び仲間から自分のことを良く知っている女性がいることを聞く。その女性が、昔家族を捨てて男と出奔した母・喜久子(山田五十鈴)であることを、明子と孝子は後になって知ることになるのだった。
Yasu

小津安二郎監督は『早春』の後、内田吐夢監督が映画化した『限りなき前進』を自ら再映画化する計画だったが、内容が暗いとして没になったため、その代わりに企画されたのが本作である。

しかし、これは『限りなき前進』以上に暗い内容の作品となった。普段はセリフの言葉尻まで意見が合うという共同脚本の野田高梧は、当初からこの題材に難色を示し、本作の脚本執筆中も小津と意見が衝突してばかりだったらしい。結果、興業面でも全く振るわず、キネマ旬報のベストテンにも入らなかった。

明子の役は、当初『早春』に出演した岸恵子が演じる予定だったが、岸がフランス人監督イブ・シャンピと結婚することになり、スケジュールが合わなくなったために有馬稲子に変更された。岸の起用にこだわっていた小津は「日本人の男がだらしないからフランス人なんかに取られちまうんだ」と、岸が結婚のために出演できなくなったことを悔しがっていたという。

(評価:★4)

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このあらすじを気に入った人達 (3 人)ペペロンチーノ づん tredair

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