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[あらすじ] 月は上りぬ(1955/日)

浅井家は戦争中に奈良に疎開してきて、そのまま居ついている。家族は父・茂吉(笠智衆)を筆頭に、未亡人の長女・千鶴(山根寿子)、次女の綾子(杉葉子)、そして三女・節子(北原三枝)。そして、綾子は千鶴の亡夫の弟・昌二(安井昌二)と交際中である。そんなある日、昌二の友人である雨宮(三島耕)が東京から出張でやってくる。雨宮と節子が幼なじみであることを知った綾子は、この二人をくっ付けようとあれこれ画策するのだった。綾子・昌二と雨宮・節子、二組のカップルを中心に、浅井家の人々のドラマが描かれる。[102分/モノクロ/スタンダード]
Yasu

田中絹代の監督第2作。

斎藤良輔小津安二郎の共作による脚本は1947年に完成しており、当初は小津自身が映画化する予定であったが、何度も企画が出ながら実現に至っていなかった。1954年になり、当時小津が幹部を務めていた日本映画監督協会の資金集めの一助として、脚本料を協会に寄付することになり、自社製作を再開したばかりの日活で映画化することがようやく決まった。

ところが、日活の勢力伸長を警戒した既存映画会社が結んでいた「五社協定」に、この企画がぶつかる形になってしまい、各社は俳優の貸し出しなどの協力を拒否する。このため、小津は各社を駈け回って企画実現に奔走する羽目になり、小津が次回作として脚本を準備中だった『早春』の製作は翌年にずれ込むことになった。

小津はこの年8月に松竹との監督契約が切れ、再契約はせずにフリーとなったが、その裏にはこの「月は上りぬ」の一件の影響もあったといわれる。

なお、本作で役名と同じ芸名でデビューを飾った安井昌二は、小津に「“安い”なんて名前より“高井”にしたほうが良くないか」と軽口を叩かれたというこぼれ話も残っている。

(評価:★4)

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