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[あらすじ] 沈黙(1963/スウェーデン)

チチチチチ…暗闇にストップウオッチの音。明けて、もう若くはない姉妹と、妹の幼子が汽車の客室にいる。姉は随分具合が悪そうで、面倒を見る間、子どもは客室を追い出される。外を覗き込む子ども。動いているのか、停めてあるのか分からないが、何台もの戦車が車窓を流れていく。やがて一見平和そうな喧騒の町に到着。三人は、姉を休ませるため、この言葉も通じない町に宿を取ったのだ。妹と子どもは裸で寝ている。一枚扉隔てた隣の部屋で、幾分良くなった姉は、咳き込みながら煙草を吹かし、ウィスキーを呷り、翻訳の仕事を始める。瓶が空になった。仏語も英語も独語も通じなかったが、給仕に代わりの酒を運ばせた。「手」がこの国では「カジ」と言うのだと教えてくれた給仕が去る。ベッドに横になる。左のカジは乳房へ、右のカジは…
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理性的な姉エステルと自由奔放な妹アナの、言葉が通じるその奥底に流れる<沈黙>の対立が、言葉が通じない<沈黙>の異国にある架空の町ティモカを舞台に、第三者である子どもヨハンの目をも通して、炙り抉りだされる。

尚、この架空の都市ティモカのイメージは、監督によると、戦前戦後のベルリンだそうだ。よって、劇中のティモカで聞かれる外国語は、すべてベルイマンの創作。

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イングマール・ベルイマンのいわゆる「神の沈黙」三部作、『鏡の中にある如く』『冬の光』に続くフィナーレを飾る1963年作品。モノクロ。94分。

大胆な性描写が本国スウェーデンでも問題になるが、マスコミの擁護で、カットは免れる。公開当初、日本では勿論検閲を受けたが。

また、本作は、スウェーデンのフェミニストたちには女性蔑視映画と捉えられ、かなりのプロテストを受けたそうで、女性を描くことにその映画半生を捧げていると言っていいベルイマンにとっては心外だろう。

(評価:★5)

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