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[あらすじ] 人生劇場 飛車角(1963/日)

世話になった小金一家の出入りに加勢し、人を殺した飛車角(鶴田)。逃げる途中、偶然から三州吉良の侠客・吉良常(月形)にかくまわれる。吉良常の人柄に触れた飛車角は、罪に服す決意をし、翌日、夫婦の約束を結んだお豊(佐久間)の懇願を振りきり、警察に自首。お豊との再会を待ち望み、刑務所での日々を過ごす飛車角だったが、そうとは知らぬ小金一家の宮川(高倉)がお豊に手を出してしまう。互いに許されざる仲と知ったときには、後の祭だった。飛車角の出所の日が近づいた・・・。95分
G31

時代劇に行き詰った東映が、庶民に根強い人気の人情物をと取り上げた尾崎士郎の『人生劇場』。戦前から何度も映画化されていたが、東京撮影所長・岡田茂(当時)の慧眼は、原作の中から「残侠篇」にのみスポットを当て、これをチャンバラ物として仕立てたことにあった。時代は所得倍増計画の真っ只中、まどろっこしい時代劇の大立ち回りに物足りなさを感じていた日本人の感性に、つべこべ言わず大義に身を投じる男たちの潔さが受けたのか、思わぬ大ヒットを記録。以後、10年に渡る東映任侠路線の嚆矢となったとされる◆◆◆大正の中頃。前橋刑務所で服役中の飛車角の隣りの独房に、女房殺しの男が入ってくる。問わず語りに身の上を話す飛車角◆しがらみを逃れ、一緒になるため横浜を出奔したヤクザ・飛車角と女郎・お豊は、東京・小金一家のお世話で深川の裏町に軒を借りていた。ある日、一家の若衆・熊吉(曽根晴美)が二人のもとを訪れ、一家に出入りがあるが、二人に迷惑を掛ける訳にはいかない。ついては、手筈は整えてあるから別の場所へ移ってくれ、と言ってきた。一宿一飯の義理と助っ人を申し出る飛車角に対し、お豊は止めようとするが、飛車角は聞かない。新品のサラシを腹に巻いた飛車角は、お豊の制止を振り切り出かけてしまう◆宮川、熊吉とともに敵対一家へ乗り込んだ飛車角は、首尾よく目的を達した後、逃げる途中で一杯の水を求め、民家に忍び込む。家人に声をかけると、老人が出てきたが、この老人に出入りで人を殺してきたことを見抜かれてしまう。彼こそ、三州吉良の仁吉親分の子分で、通称・吉良常という侠客だった。昔世話になった大店の旦那の倅で、早稲田大学に通う瓢吉(梅宮辰夫)の下宿を訪ねてきていたのだった。吉良常の強い勧めで部屋に上がる飛車角だったが、そこへ彼を追って来た警察が訪れる。この界隈まで追い込んだはずだが、と横暴な態度で捜査を強要する刑事たちを軽くいなしつつ、頑として引かない吉良常の凄みの前に、刑事たちもすごすごと引き揚げるしかなかった◆酒を酌み交わし、先に寝込む吉良常を見つめる飛車角。瓢吉の帰宅で吉良常が目を覚ますと、すでに飛車角の姿はないのだった◆翌日、まんじりともせず一夜を過ごしたお豊の元に、一人のヤクザがやってくる。小金親分の弟分にあたる奈良平一家の若衆だ。彼の案内で向った奈良平親分の元では、飛車角が自首の決意を固めていた。「長くて7年、早ければ5年の辛抱だ」と言う飛車角にすがり付き「行かないで、お前さん」と泣き崩れるお豊。飛車角はただ頭を抱きかかえ「待っててくれ」と言い続けるしかなかった◆奈良平親分(水島道太郎)の世話で一人飛車角の帰りを待つお豊。ある日、親分に誘われ花火大会を見物に出かけたところ、人混みの中で小金親分の殺害を目撃する。ニヤリと笑う奈良平の表情に、自分がアリバイの出しに使われたことを悟るお豊だった◆奈良平の元を飛び出て一人で自活するお豊だったが、世間は狭く、身許がばれるのは時間の問題だった。ついに一味に見つかった。口封じのためにお豊を拉致しようとする一味を、居合せた車夫が鮮やかに片付ける。そればかりか、突如心労から熱を出して倒れるお豊を家に連れ帰り、優しく看病してくれるのだった。彼こそ、飛車角と供に殴り込みをした後、身を潜める内に親分が殺され、解散した小金一家の復興を目指して地道に働く宮川だったが、二人は互いに顔を知らず、よって素性を知る由もなかった◆二日後、すっかり回復したお豊は辞去しようとするが、すでに情の移った宮川は帰そうとしない。お豊の頑なな態度に興奮した宮川は、お豊を押し倒してしまう。そこで画面が暗転するので、この後どうなったか不明◆翌朝すっかり夫婦気分の宮川は、戸外で鼻歌混じりに俥を洗っている。何を思ったかお豊が押入れの戸を開けると、見覚えのある半纏が。丸に小金の文字、小金一家の半纏だ。素性を問い質すお豊。二人は、自分たちの関係がただならぬものである事を知る・・・◆一方、折に触れて吉良から上京する吉良常は、前橋にも立ち寄り、飛車角と面会を続けていた。あるとき、恩赦により釈放が一ヵ月後となった飛車角から、深川に住むお豊という女に自分の出所日を伝えてくれと頼まれる。わかった、一ヵ月後には必ずお豊さんを連れて迎えに来る、と約束する吉良常だったが・・・

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