★4 | 「動くはずのないものが動き、それを目にした者はその美しさに心を奪われる」すなわち、アンジェリカとは「映画」の化身である。ならば、愛すべき木偶坊に過ぎないと思われた青年は実のところ「観客」と「演出家」の似姿をその一身に分かち持ち、一筋縄ではいかない人格の像をにわかに結び始めるだろう。 (3819695) | [投票(2)] |
★4 | 怪異譚表現に於いてスラブ的・サイレント的な味わいという以上のもは大して無いのだが、農夫のあっさん集団への偏執や朝食時の婦人客の強固な目力や各種ノイズの底深い剣呑さとかがオリヴェイラ自身の意図や思惑とは乖離しよっぽどおっとろしくて蠱惑的。 (けにろん) | [投票(1)] |
★4 | 美しき死人に恋する青年の無心が、どこか滑稽に見えるのは「若さ」に対するオリヴェイラの冷やかしでもあり、嫉妬のようでもある。もしも後者なら、飄々とした語り口の末に突き放すような結末の冷淡さこそがホラー。サビーヌ・ランスランの夜景は今回も絶品。 (ぽんしゅう) | [投票(1)] |
★4 | 雨、というよりは、雨音の慕わしさ。窓、扉、鏡。写真、なにより映画の画面という世界を縁取ってみせる枠組。青年の世界は厳密に縁取られ、したがって青年の実存は世界から切り離される。やはり世界を縁取るサウンド。古典的な合成エフェクトで構成された超現実主義的な独特の空中遊泳は、死せる女の肖像がそのまま「映画」の寓意であることを示す。“死に至る為”にこそある疾走の為の疾走。ハッピーエンド。 (鷂) | [投票(4)] |