★4 | 白夜(2009/日) | 真っ向勝負の直球メロドラマであり、しかも、近年まれにみる良質の反号泣恋愛映画である。台詞、音楽、撮影のどれをとっても陳腐にすら見えかねない定型でありながら、眞木と吉瀬の地味にリアルな存在感と、執拗な映画的反復により通俗性が撹拌、浄化されている。 [review] | [投票(2)] |
★2 | 草原の椅子(2013/日) | 自分探しの若造ならいざしらず、人生の半分を終えた者たちが、さらに未来に向けて何かを決意するためには地に足の着いたそれなりの根拠が必要で、異境の地にいそいそ出向いて「目覚める」奴なんかいない。秘境信仰は宮本輝ら団塊の世代特有の根拠なき幻想。 [review] | [投票] |
★5 | 中国の鳥人(1998/日) | 過ごしてきた時間、残された時間。氏家(石橋蓮司)と和田(本木雅弘)の価値観を分かつのはその時間の量。しかし時が流れ、また和田も“この十数年は生きやすい時代ではなかった”とつぶやく。ふと立ち止まって、自分にとっての時の価値を考えてしまう。 | [投票(1)] |
★3 | 死刑台のエレベーター(2010/日) | 何ともうそ臭い過剰さが心地よい。港町に舞台を設定したのは脚本家のアイディアだろうか。横浜(神戸もそうだが)という街が持つ映画的記号が、完璧なまでに「うそ物語」の成立を担保する。生真面目な阿部が二谷英明なら、吉瀬の苦悩顔は北原三枝だ。 [review] | [投票(2)] |