★3 | 元禄忠臣蔵・前編(1941/日) | 寄りは極力排除し、長回しと目いっぱいの移動で空間を意識させ映画に客観性を与えようとしているかのようだ。忠臣蔵にまとわりついた虚飾をはぎ取り、物語性を最小限まで排除して溝口が目指したのは、今風に言えば内蔵助の心理検証ドラマ? 賛否分かれるところ。 | [投票] |
★2 | クレージーの無責任清水港(1966/日) | こんな雑な脚本、本当に小国英雄が書いたのだろうか。客寄せ主演植木等が孤軍奮闘するも、共演者は付き合いで“こなす感”ありありで、植木の生真面目さが際立って笑うに笑えない。66年の日本には、まだこんな風景が残っていたのだなあとロケ撮に感慨。 | [投票] |
★3 | 絶唱(1958/日) | 華奢な浅丘ルリ子と小林旭のお坊ちゃんぶりが如何にも戦中戦後のカップルらしく、横山実の白黒画面の中で実に良い雰囲気。ほぼ本作の脚本を踏襲した75年の西川克巳版に比べ、プロレタリア色が強いのは58年という製作時期のせいでしょう。 | [投票] |
★4 | たそがれ酒場(1955/日) | 舞台となる酒場の造りが面白い。木造の二階。広いフロアに飾り気のないテーブルが無造作に並ぶ。奥の中二階の張り出しにマイクとピアノ。その下あたりに常連客が陣取るカウンター。店の入り口はフロアの中ほどにあり階段をのぼってきた客はいきなりそこから現れる。 [review] | [投票] |
★3 | 俺は待ってるぜ(1957/日) | たそがれの港。逆行の中、浮かび上がる石原裕次郎と北原三枝の虚無感を暗示するシルエットのなんとスマートで美しいこと。それにしても石原慎太郎脚本に色濃く反映されるナルシスティックな兄弟コンプレックスの根深さには驚く。 | [投票] |
★4 | 風雲将棋谷(1955/日) | 比佐の脚本の語りの巧みさ、松田演出のテンポとケレンの程よい調和。小杉勇、長谷川裕見子の無念さ、右太衛門と喜多川千鶴の切なさ。そして何より、サソリ怪人薄田研二の呆れるほどの怪演に喝采を。まさに痛快娯楽に値するプログラムピクチャーの鑑。 | [投票] |
★5 | 王将(1948/日) | 三吉がアマからプロへと転進するくだりで南無妙法蓮華経の念仏とともに、映画もそのリズムとトーンが見事に転調する。全編を通して交響曲を聞いているような陶酔感。今となってはベタな演出や大時代的な芝居もまったく気にならないほど圧倒的な完成度。 | [投票] |