★3 | ちょっと思い出しただけ(2021/日) | ちょっと思い出しただけの記憶の断片が時に胸掻きむしったりするけどあくまでそれはちょっと思い出しただけで瞬く間に日々の営為の中に埋没してしまう。そういうアンチドラマな何かを捉える方法論としての倒叙体ならやはり進行形の今と錯綜させる術が欲しい。 | [投票(2)] |
★4 | blank13(2017/日) | 『生きる』現代版的構造に陥るところを葬儀シーンへのライブ感傾注により回避し、結果一家の過去時制のみが鈍色に純化されて浮かび上がる。磨り硝子越しの取立屋はじめフラッシュバックされる鮮烈なイメージは演出を左右するリアルの抽斗に裏打ちされている。 | [投票(1)] |
★4 | 37セカンズ(2019/日=米) | 障がい者の性欲という際どい課題は仕事を通じたアイデンティティの確立や母親の庇護からの脱却とリンクされる。その物語方便の虚構は佳山明の実存の圧倒の前で気にならない。しかし、それらが放逐され俄に舵を切った自分探しは少なからず形骸的で惜しい。 | [投票(2)] |
★2 | 光(2017/日) | 珠玉のラブストーリーってどこがやねん。最悪出会いな常套導入だが続く転開のディテールが一切無い不思議。映画音声ガイドという非映画的な難物を御せると過信した頭でっかち女の浅薄が無残。撮影のクローズアップ多用も状況を描写し切れない単なる逃げだ。 | [投票(1)] |
★3 | 日本のいちばん長い日(2015/日) | 構図と編集リズムによりドラマのエモーションを高める作為は前半に関しては一応の成果を見せ、ミクロに集約された三者の思いの錯綜は新鮮でさえある。ならば将校の叛乱は寧ろ描かないくらいでよかった。後半は流された感が横溢した岡本版の劣化模倣だ。 | [投票(3)] |
★5 | LOVE LIFE(2022/日) | 「そこに居て一緒に生きてくれるだけでいい」という主人公の内面に押し込まれた感情が迸る佳境。深田にしては真っ当な展開と思う傍から映画はグラインドする。この結末も確かに1つの LOVE LIFE 。ラスト俯瞰ロングの長回しはアントニオーニみたい。 | [投票(1)] |
★4 | その日、カレーライスができるまで(2021/日) | 安アパートでどってことないカレーを作る。その安普請な取柄無さが、彼に起こったことが明らかになるにつれ側側と心に沁みてくる。夜の静寂を弥増させるラジオ・雨・隣室の音は世界を沈澱させるだけ。だけど、やがて電話は鳴るだろう。その時曙光はさすのだ。 | [投票(1)] |