製作費六億八千万円と言っている割には「どこが？」という印象ばかりが残る一本。富士五湖の中でも一番ミステリアスな西湖に恐竜が出るというのはいいが、話がてんでつまらない。渡瀬恒彦が富士五湖にやって来て、恐竜が出てきて、最後に富士山か噴火するという、それだけの話なのだ。時期が時期だけに『ジョーズ』をきっかけに始まった「動物パニック映画」ブームに乗る形となった本作だが、それ以前にまるで乗ってない。

　それに輪をかけるのが肝心の恐竜。皮膚の造形は良いが、全体で見ると……大した出来ではないし、何よりプレシオザウルスの首がヘロヘロなのは痛い。実物大の頭とか作ったりして気合とかは入っていたりするのだが。唯一救えるのは、そうでは無い部分の特撮の出来。地殻変動のシーンは迫力があるが、その気合がもっと他の所でも出て欲しかったと思うのは自分だけか。

　結果として、射的で『ジョーズ』を狙ったけど『グリズリー』を獲っちゃいました、という感じ。あと気になったのは主題歌か？意味深なようで、歌詞だけ聞くと意味不明だったりするのが良く分からない……。