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[コメント] 長髪大怪獣 ゲハラ(2009/日)

彼等にもう少し、時間を。作る時間もそうだが、もっと放送時間を与えるべきだった。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この番組企画を初めて聴いた時に「脚本:みうらじゅん」と聞いて、はてどうなるのか、というまず浮かんでしまった。怪獣映画を愛しているのは知っているけれど……という、期待半分・不安半分の複雑な気持ちにさせられたのは事実である。だがいざ観てみると、なかなかどうしていいじゃないですか。

 思い浮かぶだけでも『空の大怪獣ラドン』『大怪獣バラン』『サンダ対ガイラ』といった過去作品への敬意がきちんとなされている。というかこれは、みうらさん自身が子供時分に観ていて印象に残った場面へのオマージュなのだろう。変な外人学者が出てきて新兵器が出てくるのもそうだが、ああいう展開はやっぱり気になるよなぁ。自分だってそうだったもの(笑)。で、倒されて終わりかと思ったら、まさかのオマケ付き。この辺は樋口真嗣監督のお遊びか? 昭和と平成、両方の怪獣映画の雰囲気をきちんと汲み取ってるのは何ともたまらない。

 ではあるが、15分という枠はあまりにも短すぎた。敬意やらオマージュがいろいろ詰め込まれた結果、それらを味わう暇もなくどんどん話が進んでいく。金沢で大暴れしていたゲハラが、3分くらい後にはもう致命傷を負ってしまっている。話は至ってまじめに作られているので、10分とまでは言わないから、NHKはせめてあと5分くらい放送枠を与えるべきだった。しかしそう考えると、日本で作られるTV特撮モノが大抵の場合30分枠(実質25分程度)なのは、限られた予算と制作期間の中で必要最低限のことをやれて、かつドラマを描けるというちょうどいい時間だからなんですな。

 まあゲハラはこれっきりで終わるだろうが、おそらくみうらさんの頭の中では『ゲハラの逆襲』とかいって、新たな怪獣を視聴者から募集して戦わせる、とかいう次回作の妄想もあったのかなぁ、と勝手に推測してみる。最後はゲハラがどこか北の方にある島で氷漬けにされて終わるとかね。……いかん、考えだすと止まらないな。やっぱりかつての怪獣少年が怪獣映画の制作に携わると、ついはしゃいじゃうんだろうね。

(評価:★3)

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