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[コメント] 第9地区(2009/米=ニュージーランド)

もっと野心的な作品かと期待してたんだけど存外普通な映画だった。
佐保家

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







鑑賞前にはなるべく事前情報を入れないようにし、本編前の予告(何でこれから見る映画の予告をわざわざやるんだろ?)の時も目を瞑ってたりした。 日本公開の半年ぐらい前に聞いていた基本情報から、なんつうか「B級の皮を被った社会派ドラマ」的なのを買ってに期待してたんだ。普通じゃ色々と描写するのに差し障りのある難民問題、人種差別問題をエイリアンに仮託する事で何かを暴き出すみたいな。要するにヤル気満々だった訳ですが、これがいけなかった。

まぁ、前半のドキュメンタリーパート〜第九地区でのハンディ映像〜実験体描写の段階まではスゲェ引き込まれてました。これまでの経緯が人間からの描写ではあるが妙に現実的なタッチで描写され噂に違わぬ出来と以降の展開にも期待させられた。「フリージャーナリストが潜入取材でも始めてエイリアン側の事情とかが明かされるのかな? モザイクとか音声処理掛けられたエイリアンのインタビューとかやるのかな?」とか。

ところが研究施設から逃げ出して第九地区に転がりこんだ辺り風向きが怪しくなってくる。戸惑うオレを尻目に話はどんどん進んで行き、なんか謎の液体さえ取り戻せば何とかなると映画的な意味での解決法が簡単に提示されてしまった。ここでストーリーに対するオレの興味が完全に消滅。

う〜ん、もっと人間側とエイリアン側を均等に描写するんかと思ってたんですが、ほぼ人間側からのみでエイリアンサイドの視点が皆無なんですよね。何故彼らが地球にまで流されたのかとか、第九地区内ではどんな社会が形成されてるのかとか、実際どんな風に子作りしてるのかとか。

戦闘シーンそのものは面白かったんですが、勢いって意味だと中途半端。つうか、ラスボスが傭兵隊長ってどういうことよ? 本来なら真っ先に首を上げるべき外道義父やその上司だろうが! ロボコップ見習えや!!

しかし、ここまでエイリアン側の理屈を抑えた意図は何だったんだろう。ひょっとしたらあえてその辺はボカシて「グレーな立ち位置を貫いた」のかもしれない。でも、そんな言い訳では俺の心のなかに出来たモヤっとした思いは晴れはしない。破綻しても良いから全力で思いっきりボールを投げて欲しかった。バッターボックスで打つ気満々で待ち構えてる俺はそれ以外の答えは求めていなかったんだ。

まぁ、問題のある鑑賞姿勢だとは思いますがね。

(評価:★3)

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