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[コメント] HERO(2002/中国=香港)

鬼に金棒。ドニーに長槍。このドニーとのシーンだけなら☆=5だったのに・・・ あるいは、イーモウ監督、過去を懺悔する?
ボイス母

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







どうも、トニー・レオンがどん臭い。まず、二枚目に見えない。ただシオシオとシオタレているだけに見えるし。 (そこが「二枚目の条件」かもしれないが)

ツィイーたん、頑張ってます。 押し倒された時の「きゃっ☆」という勝ち誇ったような表情がいけてます。ご飯が進みます。 マギー・チャンも優雅です。お姉さまです<意味不明。

皇帝も強いです。非常識に強いです。 確かに「なんで皇帝にまで登りつめる事が出来たのか?」と考えれば、「強いのは当然」かもしれません。 そういえば『テラコッタ・ウォリア』でも皇帝が異様に強くて、咄嗟にコレが秦の始皇帝の話しだとは気がつかなかったくらいでした。

で、問題の『テラコッタ・ウォリア』 実はこの「HERO」を読み解く鍵はこの映画にあると私は考えています。

頼まれ仕事で嫌々関わった『テラコッタ・ウォリア』(それも「顔が兵馬俑に似ているから」というソレだけの理由で)

監督自身からしてみれば、むしろ消してしまいたい過去。 (なんたって監督本人が主演してラブシーンやカンフー、ギャグまで演じているキテレツ映画なんだもん。つい近年まで監督自身の経歴からは抹消されていた)

この過去を改めて監督自身が思い出したのは多分、イーモウ監督が『グリーン・ディステニー』を観た瞬間だと私は推理しています。

「あ、しまった!オレにもこの道があったのに、放置していたし!!」と多分きっと歯がみして、地団駄を踏んだことでしょう>イーモウ監督。 彼はそんなヒトです<決めつけ。

なんせかつては自分が主演した!その場にいた!!という武侠映画主演の輝かしい前歴が有るのに、自分で「そんな過去はクダラナイ」と否定していたんですもの。 でも、「グりーン〜」を観て、真っ青ですよ。 「アカデミーまで取りやがった!グヤジー」ですよ、多分。

「俺の中にもカンフー魂はあるのにー」とイキナリ自己肯定したんでしょうね、その瞬間。それまでは自分のキャリアから消してたクセに。 で、「オレも撮るぞ!」と鼻の穴膨らませて、じゃなかった、満を持して挑んだのがコノ作品。

うーん・・・この話の嫌みさに遺憾なく監督の嫌な性格が出てますね<褒めてます。因に。この表現。監督という仕事は「大人で策士」でなければ出来ない仕事ですから。

「刺客風情が命がけで皇帝にイヤミを言いに行く話し」ですよ?これ。 なんとも監督の人となりが伺えるコンセプトです(それも持って回った手法で語る<中学生の娘は一瞬、話しについて行けてなかった)

しかも画面はペンキをぶちまけたような、監督お得意の「力技・総画面一色塗り」です。 そこで美男(居たか?)美女がヒラヒラと舞いながら戦います。 本来はウットリと観てて飽きないハズですが、あまりに美しいシーンが続くので、そのうち環境ビデオを観ている時みたいに目が画面上を上滑りします。 何故か心には迫ってきません。

多分、話しに入っていけないので(あまりキャラクターに感情移入できないせいか?)目の上滑りが起きるのでしょう。 残念でした。

しかしやはり、ドニーとリー・リンチェイの仕事は素晴らしく、雨の中、碁会場で戦うシーンは名シーンです。見ほれます。 拮抗する肉体と技。ワイアーと一体となれる役者のスキルの高さに惚れ惚れします。 この二人の典雅な戦いぶりを(しかもこの扮装で!)フィルムに納めることが出来たというのは映画史に残る奇跡かもしれません。 この点は、高く、高く評価したいです。

(評価:★3)

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