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[コメント] 遊び(1971/日)

「若さ」ゆえの清冽さ
ボイス母

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







若いとナンでも信じられます(断言)

若いときに出会う恋は「ホンマモン」であることが多いです。

たとえ知り合ってわずかな時間しかたってなかろうが、信じられるモノが世界中にお互いだけしかなかったとしたら? この世でお互いこそが最も似た者同士だとしたら?

そんな(ある意味極限下とも言える)条件下で芽生えた恋とその成就を、マエストロ増村は鮮やかに切り取って観客に差し出してみせる。

「若いってこんな事」 素直で、純真で明るくて、多少ナゲヤリでなおかつ出たとこ勝負、しかも思いつくまま。 素早いスピードで、汗まみれ。 自分の命を燃やす一瞬一瞬を確認するかのようにムチャしマクリ。

あぁ、でもこの思うサマ&ヤリッパナシな行動は「若さ故」に許されるものだから。

実は想像していたのとラストが全く逆であった。 ホントはあのまま二人の姿が遠目に消えて、水しぶきも消えて、「あぁ、水底に沈んで死んだのね(ホロリ)」となるのだとバカリ思っていた。

ところが、実際は二人はカナヅチであるのに、元気良く、おもうさまバシャバシャと水しぶきを上げて去ってゆくのだ。 この明るさ。この思い切りの良さ。

「あぁ、なんだ、この二人の未来は結構イケソウじゃないか」とその後ろ姿を川岸の葦の原から見守る観客&監督。 きっと二人は逃げ延びて、どっかの住み込みの店員さんか職工さんになって、子供もこさえて幸せな生活を始めるんだろう。 「この若さがあれば大丈夫!幸せになれるよ」とマエストロ増村が語っているようなラストシーンだ。

高橋惠子こと(当時)関根恵子は良く語られることがあるが(このぬぎっぷりの良さ!!)、大門正明も素晴らしい。 ぶっきらぼうだが傷つきやすく、本当は心が優しい孤独な青年を好演している。 得難いキャラクターだ。 今、コレを演じることが出来る俳優がいるだろうか?

(評価:★5)

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