コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 人情紙風船(1937/日)

シンザ・・・・悪くてイナセで魅力的な男・・・(ぽ)
ボイス母

実に実に話の作りは近代的でビックリ!こんなモダンな時代劇があったのか!?(しかも、戦前に作られた映画で!!)と目からウロコが落ちる思い。

しかし、ココに息づく人々は確かに「江戸の空気」を伝えている。 町人には町人の、武士には武士の「生きる規範と倫理」が根付き、ソレに従って生きる人々という姿勢が全編を貫いているだけで、この映画は確かな存在感と手応えを持って観るモノの胸に迫って来る。

「コレがホントの時代劇だ!」思わず、見終わって快哉を叫ぶ。 江戸時代が実はこの現代の日常と地続きであったという証明をしてくれる映画である、コレは。 その機微に人情に、実のところ冷静な現代人の分析も垣間見えるが、ソレがコレを「普通の通り一遍の時代劇とは一線を画した」点であるように思われる。

つまり、様式に陥らず、冷静に人を見つめ、その人の生活背景や倫理観を理解した上でなければこの映画は撮れないのだ。 山中貞雄という人は、多分、江戸人のハートを持ち、なおかつ同時に近代人の分析力を併せ持ったヒトであったのだろう。

ソレは多分、「同時に人生の達人でもあった」という事なのかも知れない。 つまり、自分とはまるで違う立場や境遇の人に心を寄せ、理解を示す人であったであろうという意味に置いて。

戦後も生きて帰ってきて、いろんな映画を沢山撮って貰いたかった。 かえすがえすも、残念。無念。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)袋のうさぎ たいへい 緑雨[*] coma[*] tomcot ゑぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。