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[コメント] 翼よ!あれが巴里の灯だ(1957/米)

ビリー・ワイルダーは、時代の躍動を描くのがうまい、と思う。
ネーサン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







激しく打たれるタイプライター、回転する印刷機。 ミシンの振動。群集の歓声。舞い散る紙ふぶき。 カメラのフラッシュ(煙つき)。

使い古されて、記号化してしまった陳腐な表現だが、 ワイルダーが撮ると妙に説得力がある。 それは単にこの映画が古いからだけではないだろう。 「アパートの鍵貸します」でも感じだことだが、 経済成長最中の躍動感を表現するとき、この監督のよさがわかるのである。

同時に、彼はまた、孤独な冒険を描くのもうまい。

機内に紛れ込んだ一匹のハエ。 そのハエとやりとりする飛行士。 光る海面と、旋回する機体。

光の反射。 小さな手鏡の反射は、神が飛行士に触れた瞬間であり、 非常に美しいシーンであった。 友人のくれたメダルも、飛行機内で彼を元気付けた。 パリの空港の照明。 まぶしすぎて、飛行士を不安にさせる強烈な光源。 「着陸時の祈り」は、無神論者だった飛行士が初めて神を必要とした瞬間であり、 そうして神はそれに答えたのだろう。

それはさておき。 この1950年代に撮られた映画が、 第二次世界大戦で飛行機が背負うことになった負のイメージを払拭するのに 一役買った気がしてならないのだが、どうだろうか。

(評価:★4)

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