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[コメント] Helpless(1996/日)

浅野忠信がNIRVANA(涅槃)のTシャツ着てる。伊佐山ひろ子出てる。 …だけの映画かと思ったら違かった。何故『EUREKA』にのめり込めなくて、 Helplessは良いと思ったか考えてみました。(EUREKAのネタバレもあり)
Linus

**ネタバレ注意**
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日常と狂気の世界なんて、線びきなんてなくて、いわゆる普通の人が、 ゆっくり静かに足を踏み入れてしまうんじゃないかな、と思う。 いや、あるいはもう足を踏み入れてるかもしれないし、実はこっちの世界が 狂っていて、狂人とよばれる人がまともなのかもしれない。大多数の 意見に、人は日和るモンだし、ファシズムなんて戦時下ではまともな 価値観だったはずなのに、実は今考えるとすげぇクレイジーなことだと 思われたりしている。私は、狂うってことに興味があるのかもしれない。 だから『Helpless』のだんだん歯車がズレ、普通の人が、頭オカシイ世界に ぷすぷすと入っていく過程を興味深く見てしまった。(つまり、私も これを読んでるあなたもアッチ側に行く可能性があるのである…)

しかし『EUREKA』は、狂ってしまった人間の罪について描いた映画だ。 これに答えをださないことには違和感を感じる。人を殺すということは、 善か悪かで考えたらやはり悪だと思う。少年犯罪は今や社会問題だ。 もし青山監督が、リアリズム映画としてEUREKAを作ったのだとしたら、 やっぱり私は、あの物語にNOと言わざるをえない。一番興醒めだったのは 役所広司が少年を警察に自首させるシーンで、物凄くもったいぶった後 「生きろとは言わない。死なないでくれ」と言ったところ。 ズッコケタ。今の大人って、それくらいの薄っぺらい言葉しか持ち合わせてないのかよ、と悲しくなった。そういえば『太陽を盗んだ男』で、沢田研二も大量殺人企てるけど菅原文太は、生死をかけて(つうか全然死なないゾンビみたいな役なのには笑った)とめた上、「お前が殺していい人間は、お前自身だけだ」と言ってくれたよ。20年で、人はこんなにも変わってしまったのか? しかも役所広司って、同僚というか恋心を抱いた(抱かれた?)女の人を同居している少年に殺される役だよ。もっと心の葛藤あるんじゃないの〜。

しかし青山真治監督って、〈狂う〉ことに興味があるんだろうな。 Helplessの冒頭シーンは『シャイニング』のようだったし。(違うかな?) さて次回はどんな映画をとるのだろう。たぶん、次回作も見そうだから、 実はこの監督にハマってたりして…。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)秦野さくら[*] ALPACA

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