あなたが正しいと思って信じていることが、他の人には正しくないかもしれない。

それは個性とか感性の違いであって、みんな認め合ってなんとか共存している。

でも、もしあなたの信仰が他の人と異なることに気付かずにいたら？

極端な話、ズボンのチャックが開いていたら、周りの人はとても言い出しづらいだろうけど、やっぱり知らせて欲しいし、

自分がシネマスケープで５点を付けた映画に、２点を付ける人がいることを最終的には知るべきなのだ。

マイケル・ムーアは神様が一人しかいないアメリカという国で、 メディアという信仰に目がくらんだ人たちに「こんな考え･意見もあるよ」と教えてくれている。

皆が悪魔の化身だと嫌っているマリリン・マンソンの楽曲が、実は彼が幼少時代に負ったトラウマの裏返しだということを知っても、人は同じ悪意を彼に向けるだろうか？

少々誇張している部分もあるけれど、それはわかりやすさを追求するためであって、風刺にはよくあるやり方である。

ドキュメンタリーとしても、マイケル・ムーアというキャラを主人公としたエンターテイメントとしても見れる希有な作品であることには間違いない。

この映画公開後、巷では「アメリカ人はバカだ」と吹聴するような動きがあるようだけど、それは違うと思う。

確かにアメリカ人はハンバーガーとコカ・コーラばかり食べて、みんな肥満体型かもしれない。

だけどマイケル・ムーアも決して痩せているとはいえないし、むしろファストフードが好きそうな典型的なアメリカ人だろう。

主流のムーブメントに身を任せてアメリカ人をバカにすることは、 この映画の主旨に反することだと思う。