泥に塗れた束の間の生活の場、寝床はある。でもそこにあるのは見たくも無い、愛のない疲弊した毎日。そんなところに自閉しているわけにもいかない。何より外へと出たがっているのは若いロゼッタ自身。故に彼女はフェンスを抜けて、靴を履き替え、街を歩く、職を探す。だがそこに本当の居場所を見出すのは並大抵な努力ではない。居場所を得たと思えば他人にあっさり掠め取られ、無理にでも居場所を得ようとすればせっかく得た友人（それもまたひとつの居場所）を失う。自閉していて何がわるいとも言えるかもしれないが、やはりそれは不幸だろう。

ガス自殺を図ろうとして、ガスの足らないことに気付いてガスボンベを運ぶロゼッタ。己が存在していることの（カラッポなくせに）どうしようもない重さに耐え切れなくなったように崩れ折れて泣き出すロゼッタ。それを助け起こす友人。よかった。