[コメント] 愛と死をみつめて(1964/日)
若き吉永小百合の、半分を眼帯やガーゼに覆われているその顔が、何故かしら妙にエロティックなものとして映る。拘束具がかえって造形の美しさを際立たせるような、そんな効果をあげているように思われる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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だがそんな顔も、病状の進行と共に苦痛に醜く歪んでいくことになる。美しさと醜さの狭間で苦悶するそのさまが、そのまま生と死の狭間で苦悶する姿として、観客の目に焼きつけられることになる。この映画は、ともかくも吉永小百合の顔の映画。
ちなみに、病状の悪化した瀕死の吉永小百合が呟く、「生きていたことさえ大きなウソのように思えてならない…」という内的な独白は、何気ないがちょっとショックな言葉ではある。これはこのドラマを辿っていく中で、死に対する愛の勝利を信じたくなるであろう私達観客の無意識の願望を、呆気なく裏切ってしまうようなセリフだと思えるからだ。そしてそこには、あるいはそれこそが実際にはリアルな感慨かもしれないと思わせられるリアリティもある。げに死という現実は不条理であると思う。
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