コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] バベル(2006/仏=米=メキシコ)

菊地凛子の「露出」。それは(恐らくは図らずもだが)“弱さ”の端的な露出なのであって、それによって自分自身を「××××」呼ばわりする自意識の哀しさもまた露出してしまうことになる。

(なんか日活ロマンポルノ見たような理屈ではあるが…。)

“弱さ”、その露呈としての“傷”は、露出することで人の視線を否応なく捕捉する。身もフタもないと言えば確かに身もフタもないが、身もフタもなさにまで追い込まれた人間の哀しさというものもまた、確かにこの地上にはあるのだろうとは思う。身もフタもないことを描くに、身もフタもなく描くというのは映画的であるのかどうかは、ちょっと疑問だが、それが現代(の映画)なのだと言えば、そんな気もしてしまう。そんな仕方でしか露出できないものもあるかもしれない。

題名からして答は出ているというのはその通りで、確かに全体を通してもその通り以上のことを描いているようには思われない。ただそれでもこの映画がそれなりに優れているのは確かで、微妙な程よい緊張感を持続したまま、2時間少しの時間を飽きさせずに牽引していくだけの力はそこにある。ひとつのエピソードが一段落する少し前のタイミングでつぎのエピソードに移行する、その手際が心地よいリズムを生んでいるのではないか、という感じがする。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)chokobo[*] ぽんしゅう[*] ジェリー[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。