コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 突然炎のごとく(1962/仏)

カトリーヌってば・・・

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「心理学じゃない、形而上学だ。」「彼女は万人の幻だ。独占できぬ。」

つまりは、そういうことなのではあるまいか。極端に言えばカトリーヌは生身の人間ではなく、男達の青春の偶像としての「女」。それが受肉するとこんな女になってしまう。それは人間ではないから、心理学の対象ではない。停滞した男達の存在を「突然炎のごとく」燃えあがらせる形而上的存在としての「女」。瞬間から瞬間へ怖いほどに違った表情を見せる「女」。受肉した、そして停滞できない偶像は、あのようにしてみずからの存在を終わらせるしかなかった。だがそれも、決して自己の為の死、「闘争の為の闘争」ではない。受肉した偶像である彼女は、「闘争の為の闘争」という不毛な自意識の葛藤を生きたりはしない。どこまでも自己の欲望(ジムとの果たされなかった契り)に率直に殉じたまで。

フランス映画は言葉に依拠する傾向があるように思える。それを時間の中で肉声として直に聴き取ることができるなら、感受出来るものは変わってくるのではないかと思う。(そう言う私は、フランス語はまったくできません。)

「君の魂は信じない。だが君の脚の美しさは信じる」というセリフに共感。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)甘崎庵[*] ルッコラ セント[*] くたー[*] ペペロンチーノ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。