[コメント] ライフ・イズ・ビューティフル(1997/伊)
この映画には映画としての愛情が感じられない。観客は感情を意図した方向にのみ動く事しか許されていない映画だ。物語の前半は映画の流れとしての悲しみをより深く印象ずける為の序奏にすぎず、そしてラストにおける子供にうそをつきとおす主人公の行動をより美事としてのみに思わせるために存在する。主人公は人生を謳歌し、何も持たないがゆえにすべてを持つ可能性を秘めている。ここでまず行き当たりな人生を若さゆえに演じる事により、主人公の道化としての役作りがおこなわれる。(道化は主人公にはなれないのに!)それもラストの強引な押し付けがましい感傷的な愚事を立証するが為に…。そもそもこの男がなぜに主人公にならなくてはならなかったのか?演技区分にしてもましてやルックスにしても主人公足りえる物は何ひとつ持ち合わせているようには見えない。ここで考えてみるに、この映画の不自然極まりない話しの流れ、および主人公以外のキャラクターの没個性ぶりを考えると、必然的に浮かび上がってくる事は、あらかじめこの主人公たりえない男を主人公に仕立て上げるためだけにこの映画はうそをつき続けまければならなくなったのではないか、と思うのである。 ぶっちゃけていうと主役はおいらが!ラストはこんな感じ!あとはむりやりこじつけちゃえ!てな感じ。後半はもう見るのもいや!って感じにお気楽に収容所を描いて、ましてやとりあえずアメリカを賛美しておけ、という具合に夢も希望も無いつまらない中年男の没個性ぶりが逆に気持ち良いくらいだ。お題だけ決めて、つまらない男のつまらない漫談をむりやり聞かされているような映画でした。けしからん!なにかの宗教じゃないけど「これが真理です!」などとばかげた事を言われてやれやれというような映画ともいえない個人的な超駄作。
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