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[コメント] ジョー・ブラックをよろしく(1998/米)

ピーナッツバターに騙されてはいけない。それを引き立てるだけの演技をブラピはやってのけている。この映画は、静かな名演技&演出がふんだんにあるのです。
のぶれば

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ピーナッツバターは確かに作品に良い味を醸し出させていたと思います。 しかし、それは他での熱演があればこその結果だと思うのです。 もし他の演技が駄目であれば、きっとピーナッツバターはほんのりした甘味では無く、くどくて甘すぎる味を出してしまっていたのでは無いでしょうか?

正直、私はこの作品でブラピの演技を見直しました。 私にとって、彼の一番のシーンは、社長の話を聞いているときに手のひらで頬杖をつくところ。その一つの動作で、それまでの高圧的な「死神」から、更に人間に興味を持った「死神」に変身したように見えたから。

また、娘(クレア)との会話のシーン毎の変化も良いです。二人の顔が近づいて肩を抱くのか、キスシーンか…もどかしさが十分伝わってきます。で、にくいことに、次のカットは親子で抱き合ったり、キスしたり、ふんだんにスキンシップがとられる。ブラピが画面にいないのに、彼の羨望が感じられる(これは監督の技術なのでしょうけど)のです。

娘役のクレアもなかなか良いです。表情が特に。一言一言の台詞ばかりでなく、相手の返事を待つとき、考えてるとき…それぞれに肯定的、否定的、恋する表情、そうでない表情が感じ取られる。

また、アンソニーは匠の技を連発しています。 冒頭、ヘリコプターでの親娘の会話の最後に見せたアンソニーの表情!あのシーンは一発でOKの撮影なのかな?何だか、親娘の関係を表情一つでばっちり現したみたいに感じられました。

それから、胸を押さえて苦しむシーンも、最近の映画の多くは「はあ、はあ」と息がきれて、次のカットに移るところだけれど、油汗がつーっとほほを流れ、床に落ちるところまで映しきる。それだけに、「苦しい」という言葉無しに苦しさがじわりと観客を包み込む。

映画全編がそんな感じで、カメラワークが優しいから、1シーン毎にいろんなことが感情として伝わってくる。

こうした静かな熱演があるからこそ、ピーナッツバターの演技が素晴らしく見えるのでしょう。ですから、騙されてはいけません。ピーナッツバターが素晴らしいのでは無く、それを素晴らしく見せるだけの静かなる熱演と演出が濃縮されている映画だと思い候。

(評価:★4)

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